HLW処分問題 福井県の学生が活発議論
13 Dec 2024
意見交換会の様子(60秒)
高レベル放射性廃棄物の処分問題について知識を深めるワークショップが、7日、福井市で開催された。若い世代に「自分事」として原子力問題に一層の興味を持ってもらうために、福井工業大学らが中心となって主催しているこのワークショップは、今回で14回目の開催。この日は福井県内から同大のほか、福井大学、福井県立大学、福井南高等学校から34名が参加した。また特別ゲストとしてお笑い芸人の「span!」さんの2人も参加し、グループの中に入って場を和ませながら、熱心に議論していた。
はじめに講師として、日本原子力産業協会の武田精悦調査役および杉山一弥調査役がHLW処分問題について講演。なぜ地層処分方式が選ばれたのか、人間や環境への影響、先行する海外事例などを紹介すると、学生たちは真剣な様子で聞き入っていた。
その後、学生たちは5つの班に分かれ、教育現場などでも用いられるデジタルゲーム、マインクラフトを通してHLWやエネルギー問題への理解・関心をさらに深める取組に挑戦。福井工業大学の学生が考案したもので、ゲーム内でエメラルドを集めていく過程で、次々とクイズが出現し、正解することでポイントを獲得していく。そのポイントの合計数を各班で競い合う仕組みだ。クイズの答えを導くためには、配布資料を読み返し、同じ班のメンバーとの意見交換が必要になるため、メンバー同士、活発な議論が生まれていた。
また、アイデアバトルと呼ばれる問題が出ると、それぞれの問いを受けて話し合った結果を会場全体に発表するルールになっており、その間はゲームが一時中断される。各班、必ず1回以上、発表のタイミングがあり、さまざまな考え方や意見に触れながら、自分たちのアイデアに活かす訓練になっていた。
例えば、「地層処分を生かしたまちづくりについて、話し合ってください」の問いには、「発電から放射性廃棄物の処分まで、福井県のみで実現できれば、それは一種のブランドイメージ向上になるのではないか?」といった意見が飛び出た。ただ、それに対して「経済性や公平性の観点から全国に分散することも大切で、各県に自分事としてこの問題を捉えてほしい」といった意見もあがった。また、「エネルギー自給率を向上させるために必要な政策や技術、再エネの活用方法を話し合ってください」の問いには、「各個人による省エネ家電の導入などの努力をしつつ、今ある発電施設の有効活用、新型革新炉やアンモニア発電など、さまざまな新しい技術の導入を模索していくべきだ」といった意見が出た。「あなたの住む街に処分場が来たらどうする?」といった問いには、原子力施設等への立地に伴う地域振興の例を用いて、反対する人々と積極的に意見を交換し合う、といった意見が出た。
回答に応じて、獲得エメラルド数が異なるなど、ゲーム内にいくつかの仕掛けが施されており、「70分という制限時間があっという間に感じた」という声もあがっていた。
他にも、「デジタルゲームを活用することで、全員に参加意識が生まれやすく、問題解決のために、複数の方法や視点を組み合わせた意見が出た」「文系や理系を問わずいろんな考えや背景を持った人と討論することで、自分の意見を相手に伝えることの難しさを感じることができた」といった声があがっていた。