ルーマニア チェルナボーダの運転期間延長に加/伊/韓企業が協力
25 Dec 2024
EPC契約調印式 © Nuclearelectrica
ルーマニア国営原子力発電会社のニュークリアエレクトリカ(SNN)は12月19日、同社が運転するチェルナボーダ原子力発電所の1号機(CANDU、70.6万kWe)の30年間の運転期間延長に向けた改修工事に係る、エンジニアリング、建設、調達(EPC)契約を、カナダ、イタリア、韓国企業のコンソーシアムと締結した。契約額は19億ユーロ(約3,109億円)。
SNNと、カナダのアトキンス・リアリス社、イタリアのアンサルド・ヌクレアーレ社、カナダ商業公団(CCC)、韓国水力・原子力(KHNP)の4社からなるコンソーシアムとの契約。EPC契約の主な内容は、具体的な設計・施工内容の策定、設備・資材の調達、改修工事の実施、および改修工事に必要なインフラの構築である。CANDU炉の技術管理者であるアトキンス・リアリス社が原子炉システムを担当し、アンサルド・ヌクレアーレ社がタービン発電機システムの設計と機器調達、KHNPは主要設備の交換や放射性廃棄物貯蔵施設などの主要インフラ施設の建設を担当する。1号機の運転期間は30年間延長した2061年までを想定。1号機の運転停止は2027年に予定されており、改修プロジェクトの完了は2030年の見込み。
ルーマニアで唯一稼働するチェルナボーダ原子力発電所では、1996年と2007年にそれぞれ1、2号機(カナダ製CANDU-6炉、各70万kWe級)が運転を開始した。ルーマニアの総発電電力量に占める原子力シェアは約20%(2023年実績)。同発電所の3、4号機(CAUDU-6、各70万kWe級)は1984年~1985年にかけて着工したが、1989年のチャウシェスク政権崩壊によって建設工事は中断し、現在は保全状態におかれている。SNNは同3、4号機建設の再開に向けて、今年11月に米・加・伊の企業から構成される合弁事業会社とエンジニアリング・調達・建設・管理(EPCM)に係る契約を締結している。
ルーマニアはCANDU炉のほか、同国南部ドゥンボビツア県のドイチェシュテイ(Doicesti)で13年前に閉鎖された旧・石炭火力発電所サイトに、米ニュースケール・パワー社製SMRである出力7.7万kWeの「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を6基備えた「VOYGR-6」(合計出力46.2万kWe)の建設を計画している。プロジェクトは、SNNと民間エネルギー企業のノバ・パワー&ガス社のとの合弁企業であるロパワー・ニュークリア社を中心に進められており、米フルアー社、韓サムスンC&T社、米サージェント&ランディ社も参画している。