規制委 福島第一の廃炉で審査・検査の改善策を示す
20 Feb 2025
原子力規制委員会は2月19日の定例会合で、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に係る審査及び検査の改善策について了承した。〈資料は こちら〉
これまでの審査の実績や実施計画の現状を踏まえて、他施設での実績を踏まえ審査に係るガイドを策定するなど、効率的・効果的な安全規制を実施するのがねらい。
これに先立ち、福島第一原子力発電所の廃炉に係るリスク低減などについて審議する同委の「特定原子力施設監視・評価検討会」で、2月17日、原子力規制庁は、東京電力へのヒアリングも実施し、改善要望事項を聞いた上、リスク情報を活用した合理的な手法の導入などを含む改善策を整理し説明。 それによると、審査に係るガイドには、これまでの技術会合等で議論されてきた認可基準適合性を確認する方法の具体例や、審査の実績を踏まえた実施計画の記載事項、「運転上の制限(LCO)」の名称及び設定すべき項目の選定の考え方を盛り込むとされた。 検査関係の改善については、溶接検査を使用前検査の一部として実施、また過去に実績のある設備でリスクが低いものは使用前検査を不要とするなど合理化を図ることが改善方針のポイント。
その中で、19日の定例会合では、他施設での原子力規制検査の定着を踏まえた「短期的な改善策」について規制庁より諮られ、了承された。安全にフォーカスし改善活動を事業者と規制側の双方で行う原子力規制検査の実績等を踏まえ、有効な評価手法の導入をさらに進め、監視領域を設けて効果的かつ効率的な監視を行うことや、検査指摘事項の評価に重要度評価を導入するなど、合理的な検査の手法に改善していくもの。
一方で、福島第一原子力発電所の廃炉を担務する伴信彦委員は、これまでも震度計の取扱いで「不備を知っていて対応しなかった」ことなどに対し厳しい指摘をしてきた。今回了承された検査指摘事項の重要度評価では、当面のすべての指摘事項に対する「重要度評価・規制措置会合(SERP 会合)」や、意図的な不正行為等に対する深刻度評価も導入することとなっている。
規制庁は今後、審査ガイド及び検査の枠組みに係る規則等の改正に関する検討を進め、2025年度内に順次、改正案等を規制委に付議する方針だ。
2月17日に行われた検討会に有識者委員として出席した大熊町商工会会長の蜂須賀禮子氏は、これまでも議論されてきた福島第一原子力発電所におけるリスク低減マップなどを踏まえ、今後の原子力規制検査に関し、通常の原子力施設とは異なる特性に言及した上で、「不思議に思ったことがあればまずは立ち戻るべき」と述べ、工程ありきではなく総合的に安全が確保されることを、地域の立場から要望している。