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韓国 原子力発電拡大計画が確定

10 Mar 2025

桜井久子

新ハヌル3、4号機の完成予想図   © KHNP

韓国の産業通商資源部(MOTIE)は221日、国会の電力政策審議会で採択された第11次電力需給基本計画を発表した。現在建設中または計画中の大型炉に加え、2038年までに新規大型炉2基と小型モジュール炉(SMR1基の建設が計画されている。

電力需給基本計画は、エネルギー政策に関する2年ごとの政府の青写真。今回の計画は2024年~2038年までの15年間を対象とした電力需給の長期展望、発電設備計画などが含まれる。同計画の草案は20245月にMOTIEの諮問委員会が公開し、同年末までに最終確定される予定だったが、最大野党の民主党が政府に対し、再生可能エネルギーを支持し、原子力発電の割合を縮小するよう要求。国会での採択は大幅に遅延した。当初140kWの大型炉(APR1400)を3基建設する計画は2基に縮小され、そのギャップを再生可能エネルギーが埋めることとなった。

本計画の大きな特徴は、人工知能(AI)や半導体などの先端産業、電化によって見込まれる電力需要の急激な拡大である。韓国の電力需要は2024年~2038年の間に年平均1.8%増加し、2038年までに12,930kWに達すると予測。2023年と比較して約30%の増加となっている。内、半導体業界の電力需要は2038年までに1,540kWに達すると予想されている。データセンターの追加需要(増分)は、第10次計画で当初140kWと予想していたが、440kWに修正され、電気自動車の普及や国内水素生産などの産業部門の電化による追加需要(増分)は1,100kWに達すると予測されている。

政府は、発電所建設・廃止計画および再生可能エネルギー普及見通しをすべて反映した上で、2038年までに1,030kWの新たな発電設備が必要になると算定。原子力発電と再生可能エネルギー施設の両方を大幅に拡張する計画である。再生可能エネルギーの設備容量は、2023年の3,000kWから、2030年には7,800kW2038年には12,190kWに増加。原子力発電では、2038年までに3,520kWの設備容量が必要との見通しを示している。2035年~2036年の間にSMR×1基(70kW)の導入を計画するが、安全性確保の技術開発と標準設計認可の取得を経て、2030年代初めに建設許可の取得を前提としている。2037年~2038年の間に新規大型炉×2基(280kW)の建設を計画する。

なお2036年までに、老朽化した28基の石炭火力発電所はすべて段階的に廃止され、LNGプラントに転換される。2036年~2038年にかけて、運転期間満了となる12基の火力発電プラントが、揚水発電や水素発電、アンモニア混合などの無炭素電源にリプレース。セウル(旧・新古里)原子力発電所34号機と新ハヌル(旧・新蔚珍)原子力発電所34号機の建設プロジェクトは計画どおりに進められ、運転期間が満了となる原子炉は運転期間が延長されることになる。

この計画が実現すれば、無炭素電源(原子力、再エネ、クリーン水素・アンモニア)による発電量の割合は2023年の39.1%から2030年には53.0%2038年には70.7%に増加する。再生可能エネルギーによる発電量の割合は、2030年に18.8%2038年に29.2%になると予測。原子力発電は2023年の1,805kWhから、2030年に2,042kWh2038年には2,483kWhに成長すると予想され、原子力シェアは、2030年までに31.8%2038年までに35.2%に上昇する。

韓国では現在26基の原子炉が稼働しており、2023年の原子力シェアは30.7%。

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