米ホルテック 韓・現代建設とSMR建設で協力拡大
12 Mar 2025
米ホルテック・インターナショナル社は2月25日、同社が開発するSMR-300(PWR、30万kW)のパリセード原子力発電所サイトへの建設プロジェクト「Mission 2030」を開始した。本プロジェクトを皮切りに、2030年以降、北米で計1,000万kWのSMRを建設するため、韓国の現代E&C(現代建設)社との協力を拡大する契約も締結した。
同社は、ミシガン州にあるパリセード原子力発電所(PWR、85.7万kW)サイトにおいてSMR-300を2基建設、2030年に初号機の営業運転開始を目指している。パリセード発電所は2022年5月に経済性を理由に永久閉鎖され、翌6月に同発電所は所有者・運転者だったエンタジー社から、廃止措置を実施するホルテック社に売却された。近年、各国がCO2排出の抑制に取り組み、原子力のように発電時にCO2を排出しないエネルギー源が重視されるなか、ホルテック社は同発電所を運転再開する方針に転換。2023年10月、米原子力規制委員会(NRC)に運転認可の再交付を申請している。
一方、同社は2023年12月にパリセード・サイト内でのSMR-300建設プロジェクトを発表して以来、サイト整備等に5,000万ドル(約74億円)以上を投じ、詳細なサイトと環境調査、地下水モニタリングプログラムや土壌ボーリングを実施してきた。2026年初めにも、NRCへ建設許可を申請する予定。SMR-300のサイト準備作業と並行して、ホルテック社は地元コミュニティへの働きかけにも取組んでおり、このSMR-300構想はパリセード発電所の運転再開への支援と相まって、コミュニティリーダーや地方、州、連邦政府の関係者からの支持を得ているという。
なお、今回の現代E&C社との協力拡大の契約は、2021年11月締結の契約を拡大したもの。ホルテック社は、パリセード・サイトでの初プロジェクトから得る知見に基づき、それに続くSMR-300プロジェクトの迅速な展開に期待を寄せている。
「Mission 2030」の記念式典にて、ホルテック社のK. シンCEOは、「当社独自の垂直統合型供給力と、現代E&C社のアラブ首長国連邦での原子力発電所建設プロジェクトなど、数多くの複雑なプロジェクトをコスト超過なく完遂する能力により、『Mission 2030』を実現する」「長期にわたる提携先であり、SMR連合の第3の柱である三菱電機の最先端の制御システムがSMR-300に導入される」と述べ、SMRプロジェクトの成功への自信を示した。また、同社のクリーンエネルギー部門のR. スプリングマン社長は、「自社製造および建設パートナーである現代E&C社でほとんどのプロセスを管理しているため、建設プロジェクトの都度、改良と改善が可能。SMRの展開をより迅速かつ費用対効果の高いものとするカギは、建設プロジェクトで得た教訓を新たなプロジェクトに直接適用することだ」とコメントした。
現代E&C社のH. リーCEOは、「当社は米法人の現代・アメリカ社を設立し、米国の電力プロジェクトとSMR-300技術に多様な投資を行ってきた。米政府や主要地元企業と緊密に協力して体系的なサプライチェーンを構築し、米国で質の高い雇用を創出、世界のSMR業界の新時代を切り拓いていく」と抱負を語った。
ホルテック社によると、2011年から開発中のSMRは設計上の進化を遂げ、最新のものがSMR-300となる。2基構成のツインユニットで、所要面積はわずか0.12㎢。事故時に運転員が現場を離れても安全性が保たれる特性(walk-away safe)を持つ。