カザフスタン 原子力庁を設立へ
24 Mar 2025
カザフスタンのK.-J. トカーエフ大統領は3月18日、大統領直属の機関として原子力庁を設立する大統領令を発令した。3月14日には、自身が議長を務める全国クルルタイ(国民会議)で演説し、今後数十年にわたる経済発展の強固な基盤となる新たなエネルギー産業の創出に向けて、原子力庁を設置することを明らかにしていた。
原子力庁は、原子力産業の一層の発展と核セキュリティの強化を目的に、エネルギー省の機能及び権限を移転させ、ウラン採掘に関連する地下利用、原子力利用、住民の放射線安全の確保ならびに原子力発電所の建設及び運転の責任を負う。長官には、A. サトカリエフ・エネルギー相が就任した。(エネルギー相にはE. アッケンジェノフ次官が就任)。
トカーエフ大統領は全国クルルタイでの演説の中で、ハイテクはあらゆるセクターの発展に必要な機関車であると指摘。政府は高度なデジタル化と人工知能(AI)の広範な導入に適した環境を作り出すため、エネルギーのポテンシャルを高めるとともに、電力の完全自給自足を達成するだけでなく、世界のエネルギー市場の主要な輸出国にならなければならない、と語った。そのうえで、現在のエネルギー需要だけでなく、今後数十年にわたるダイナミックな経済発展に向けて、新たなエネルギー産業の創出の戦略的重要性を説き、原子力発電所を1サイトではなく、3サイト建設する考えを示した。
カザフスタンでは2024年10月、ソ連からの独立後、初となる原子力発電所の建設を問う国民投票が実施され、原子力発電所の建設に7割が賛成した。同年12月、政府はアルマティ州のジャンブール地区を建設地区に決定。今年中には、炉メーカー(またはコンソーシアム)を選定し、政府間協定および関連契約の締結を計画している。
なお、省庁間委員会が2月25日に開催され、同国初となる原子力発電所の建設について、以下の提案が検討された。今後、各提案の徹底的かつ包括的なレビューを継続するという。
・中国核工業集団公司(CNNC)製「華龍一号(HPR-1000)」(100万kW級PWR)
・露ロスアトム製VVER-1200(120万kW級PWR)
・韓国水力・原子力(KHNP)製「APR1000」「APR1400」(100万kW級/140万kW級PWR)
・フランス電力(EDF)製EPR-1200(120万kW級PWR)
サトカリエフ・エネルギー相(当時)や同省幹部は3月中旬、米エネルギー省(DOE)のC. ライト長官、中国核工業集団公司(CNNC)の申彦锋・総経理、仏EDFの幹部らと会談し、原子力分野における協力について協議を実施している。