オランダ 米製SMRの燃料・材料試験を実施へ
28 Mar 2025
オランダの原子力研究機関のNRGパラス(Nuclear Research and consultancy Group PALLAS)は3月20日、米ケイロス・パワー(Kairos Power)社と、ケイロス社が開発する小型モジュール炉(SMR)で使用される燃料と材料を評価する試験契約を締結した。
ケイロス社は2024年10月、米IT企業大手Google社と、ケイロス社が開発する先進炉を複数基、合計出力にして最大50万kWeを2035年までに導入し、Google社のデータセンターに電力を供給する、電力購入契約(PPA)を締結している。そのため、ケイロス社は開発中の第4世代SMRであるフッ化物塩冷却高温炉 (KP-FHR、熱出力32万kW、電気出力14万kW)の商業化に向けて、オランダ・ペッテンにあるNRGの高中性子束炉(HFR)での燃料照射プログラムを通じて、燃料および材料の照射試験を行い、米原子力規制委員会(NRC)に対して、燃料の安全性を実証したい考えだ。
また、ケイロス社がNRGと協力して実施する黒鉛照射試験は、KP-FHR炉心で使用される黒鉛反射体構造の高レベルの中性子曝露に対する安全限界を実証するもの。照射後特性は、NRCの許認可において重要な指標となり、原子炉技術の安全性を示すものとなる。原子炉容器と構造部材に使用されるステンレス鋼材料の照射試験も実施し、安全性と設計限界を実証することで、ケイロス社の許認可活動を支援するという。
なお、NRCはケイロス社の実証炉「ヘルメス」と後継の「ヘルメス 2」の建設許可をすでに発給しており、ケイロス社は、これらヘルメス炉から学んだ教訓を基に、2030年までにGoogle社向けの商用フリートに初号機を配備、稼働させる計画である。
ケイロス社のM. ハケット燃料・資材担当副社長は、「当社の原子炉技術を進歩させるために、正確で信頼性の高い照射性能データに依存している。優れた照射データの作成に長年の実績のあるNRGは、Google社や将来の他クライアントとのコストやスケジュール面でのコミットメントの達成を支援する、信頼できるパートナーである」と語った。