原子力産業新聞

海外NEWS

チェコ SMR建設計画に進展

21 Apr 2025

桜井久子

ロールス・ロイスSMRの完成予想図  © Rolls-Royce SMR

チェコ電力(ČEZ)は48日、自社の進める小型モジュール炉(SMR)×2基の建設計画の支援に、米国のエンジニアリング会社であるアメンタム(Amentum)社を選定した。ČEZが運転するテメリン原子力発電所(VVER-1000108.6kW×2基)のサイト、および閉鎖予定の石炭火力発電所があるトゥシミツェ(Tušimice)のサイトにおいて、英ロールス・ロイス社製SMRを建設するプロジェクトに関する環境影響評価(EIA)報告書を提出する。

アメンタム社は2サイトで初期のスコーピング調査を実施後、入札によりEIA実施者に選定された。EIAは、潜在的な放射線障害、廃棄物管理、事故発生時の影響のほか、地下水と河川の汚染防止対策、輸送、騒音などを調査対象としている。EIA報告書はチェコの環境省によって正式に承認される前に、公聴会と第三者機関による独立した評価を受ける。

アメンタム社のA. ホワイト上席副社長は、「当社のチェコにおける長年のプレゼンスと計画プロセスに関するノウハウは、この戦略的プロジェクトの推進にとって理想的。ČEZとロールス・ロイス社が、電力生産の脱炭素化に向けてSMRの有効性を実証するための大きな一歩を踏み出すことを支援していく」と語った。

チェコは2033年までに発電や熱生産における石炭利用を全廃し、再生可能エネルギーとともに、大型炉と中小型炉(SMR)の導入により、原子力発電を拡大する方針。既存のドコバニ原子力発電所(VVER-44051.0kWe×4基)とテメリン発電所での増設を優先させ、石炭火力全廃後、特に2035年以降に旧石炭火力サイトにSMRを順次リプレース、地域暖房を含めてSMRを活用する計画だ。20249月には、チェコ政府とČEZSMR供給者7社の中から入札によって、ロールス・ロイスSMR社をSMRの建設プロジェクトの優先サプライヤーに選定している。

なおアメンタム社は、オランダのボルセラ原子力発電所のサイトを建設候補地とする2基新設の計画について、202411月、オランダ気候政策・グリーン成長省からの委託により、海外ベンダーの3社(米ウェスチングハウス社、フランス電力、韓国水力・原子力会社)が実施した技術的実行可能性調査と市場調査に対する全面的なレビューのほか、同省に対して2基の新設に係る技術面および市場面での実行可能性、および、設計と資金調達に関する助言を行っている。

またその翌月には、ノルウェーのコンサルティング企業であるマルチコンサルト・ノルゲ社(Multiconsult Norge AS)とともに、ハルデン・シャーナクラフト社(Halden Kjernekraft AS)から、ノルウェー南部ハルデン市でのSMR建設の実行可能性調査を受注SMR建設にあたり、ノルウェー国内外の機器・サービスに関するサプライヤーの候補企業の調査のほか、採用炉型、環境影響などの評価を実施している。

cooperation