原子力産業新聞

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NTTがITER機構と包括連携協定を締結、ICT分野で協力

18 May 2020

建設中のITER ©︎ITER機構

NTTは5月15日、日本の民間企業として初めてITER(国際熱核融合実験炉)機構と包括連携協力協定を締結したと発表。同社が取り組む情報通信技術(ICT)の革新を通じて、ITER計画を支援し「革新的な環境エネルギー技術の創出」に貢献する。ITERは、フランス・カダラッシュで2025年の初プラズマ達成を目指し建設中。〈NTT発表資料は こちら

本協定により、今後両者は戦略的観点から、データストレージ、コンピューティング、グローバルネットワークインフラなど、ICTの領域で連携。NTTでは2030年頃の実用化を目指す次世代コミュニケーション構想「IOWN」(Innovative Optical and Wireless Network)における光関連技術の適用も想定しており、ITERの運転開始以降に向けて、情報流通基盤や制御基板整備のための技術的貢献を行っていく。

NTT社長の澤田純氏は、今回の協定締結を受けたコメントの中で、「『IOWN』を始めとする先進的な研究開発の取組やグローバルなインフラ構築能力等で貢献できる」と、同社の強みを述べ、「ITER機構とともに人類初の実規模での核融合エネルギーの実証に取り組んでいく」とした。一方、ITER機構長のベルナール・ビゴ氏は、「核融合にとって不可欠なイノベーティブな未来のテクノロジーへ向けた戦略を掲げることのできる企業」と、NTTのICT技術を評価した上で、「包括連携するパートナーの一員となったことを嬉しく思う」と歓迎の意を述べた。

ITER計画は、日本、欧州、ロシア、米国、韓国、中国、インドの7極による大型国際プロジェクトで、ITER協定に基づき機器・装置の製作・物納を通じた協力が基本となっている。ITER建設に向けて、日本では、1月に三菱重工業二見工場(兵庫県明石市)でITERの重要な機器の一つ「トロイダル磁場コイル」初号機が完成しており、完成式典に訪れたビゴ氏も日本の製造技術を高く評価した。今回、ITERの運転を視野に入れたNTTによる新たな協力が始まることに関し、ITER計画の国内機関である量子科学技術研究開発機構の核融合エネルギー部門では、「日本のテクノロジーが核融合の実現に一層大きく貢献していく」と、期待を述べている。

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