原子力産業新聞

海外NEWS

米規制委、SMR等の緊急時対応要件策定に向け提案中の規則でパブコメ募集 

18 May 2020

米原子力規制委員会(NRC)は5月12日、小型モジュール炉(SMR)や非軽水炉型の新しい原子炉技術について、リスク情報やパフォーマンスに基づいた緊急時対応要件を策定するため、スタッフが提案中の規則(rule)と要件を実行する際のガイダンス案に対して一般からのコメントを7月27日までの期間に募集すると発表した。

NRCはすでに数年前、SMRその他の新しい原子炉技術に関して将来実施することになる許認可手続きの検討を始めており、その際初めて、パフォーマンスに基づく緊急時対応策の可能性について検討を開始した。今回NRCスタッフが提案している規則に対しては、2016年6月にNRC委員がその制定計画を承認している。

また2017年4月には、新たな規制要件を策定することになった規制上の論理的根拠を示した文書(規制根拠)について、NRCスタッフが案文をパブリック・コメントに付しており、同年11月に最終版を発行していた。

今回の措置はこれらに続くもので、NRCは既存の緊急時対応プログラムが主に大型で軽水冷却型の原子炉を対象とする一方、提案中の規則と規制ガイダンス案は原子力施設の設計や安全研究の進展に対応し、SMRその他の最新原子炉技術の将来的な操業に向けた申請に取り組むものだと紹介。現行規制を修正してSMR等に対する緊急時対応の枠組みを代替選択肢として創出することを提案しているが、この新しい枠組みではリスク情報を活用するとともにパフォーマンスに基づいた技術包括的なアプローチを取る。一例として、放射性雲(プルーム)による外部被ばくの経路に関して緊急時計画区域(EPZ)の大きさを決定する際、拡大・縮小可能な柔軟性の高いアプローチを採用する方針だとした。

NRCはまた、このような提案規則と規制ガイダンス案が最終的に有効になった場合、SMRや非軽水炉型原子炉の既存の事業者にも影響が及ぶと説明。合衆国連邦規制基準第10部50項(10CFR Part 50)に基づく既存の要件の代替要件として、事業者や申請者はパフォーマンスに基づいた緊急時対応プログラムの策定が選択肢の一つとして可能になる一方、これらの規則は大型の軽水炉や原子燃料サイクル施設、あるいは現在稼働中の(非発電型の)試験・研究炉には適用されないとしている。

(参照資料:NRCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

cooperation