米X-エナジー社、自社製TRISO燃料の性能確認でMITと協力
19 May 2020
熱出力0.6万kWのMITR-II ©MIT
米国のX-エナジー社は5月14日、商業規模の3重被覆・粒子燃料(TRISO)製造加工工場「TRISO-X」の建設に向けてTRISO-X燃料の性能と品質を確認するため、マサチューセッツ工科大学(MIT)の原子炉研究所と協力すると発表した。
MIT研究所の多目的研究炉(MITR-II)を使って、今年後半にもTRISO-X燃料の照射試験を実施するというもの。この試験で得られるデータは、TRISO燃料を使用するX-エナジー社製の小型ペブルベッド高温ガス炉「Xe-100」(熱出力20万kW、電気出力7.5万kW)、およびその他の原子炉で許認可手続きを行う際、一助になる。
TRISO燃料はウラン酸化物を黒鉛やセラミックスで被覆した粒子型の燃料で、1960年代に米国と英国で開発された。X-エナジー社は、米エネルギー省(DOE)傘下のオークリッジ国立研究所内にTRISO燃料のパイロット製造ラインを保有するが、2025年までに「TRISO-X」の操業開始を目指していることから、ウラン濃縮企業のセントラス・エナジー社や日本の原子燃料工業と協力する契約や覚書を締結している。また、「Xe-100」については、ヨルダンが2030年までに国内で4基建設することを希望、2019年11月にX-エナジー社とヨルダン原子力委員会が基本合意書を交わした。
今回の発表によると、X-エナジー社は3年以上前から、独占所有権を保有するバージョンのTRISO-X燃料を製造しており、そのサンプルをMITでの照射試験に使用する。同燃料は複数の防護被膜で密封されているため、同社はこれらTRISO型の燃料では従来型の原子力発電所で発生するメルトダウンのリスクを排除することができると説明。
P.パッパノ副社長は「当社チームとして初めて、照射試験後の燃料が得られる素晴らしい機会だ」と述べており、試験データによって同社製「Xe-100」は最も安全で経済的、かつ先進的なSMR設計になると強調している。
(参照資料:X-エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)