英HPC建設プロジェクトで2号機のベース・マット完成
02 Jun 2020
完成した2号機用のベースマット ©EDFエナジー社
仏国資本のEDFエナジー社は6月1日、英国サマセット州のヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所建設サイトで、2号機用の重さ49,000トンのコンクリート製ベース・マットが、4年以上前に設定したスケジュール通りに完成したと発表した。新型コロナウイルスによる感染の拡大という厳しい条件の下、1号機のベース・マットを昨年6月に完成させてから、一年以内に2号機で同様の作業を終えたことは、今年で2つ目の大きな目標を達成したことになると評価している。
2号機用ベース・マットの完成スケジュールは、EDFエナジー社の親会社である仏電力(EDF)が2016年7月の取締役会でのHPC原子力発電所建設計画の最終投資決定(FID)より以前に設定されていた。作業チームはすでに1号機で同様の作業経験を積んでいたため、プレハブ工法の利用を拡大するなど作業ステップの生産性は大幅に拡大。鋼材の設置は1号機より45%、冷却系機器の設置は50%早く完了しており、2号機の今回の経験はサフォーク州で計画されている後続のサイズウェルC原子力発電所建設計画に生かされる。
発表によると、コロナウイルス危機の中での建設作業は、作業員および周辺コミュニティの安全性を確保するため十分慎重な措置を取った上で続けられた。例としては、作業員同士のソーシャル・ディスタンスを取るために現場の人数を制限したり、最も重要なエリアの作業に集中するなど、数多くの対策を実行。ソーシャル・ディスタンスが確保できない場所では、追加の防護具を使用している。同社はまた、プロジェクト経費を使って周辺コミュニティに医療サービスを支援している点を強調した。
同社はこのほか、この建設プロジェクトで目標より5年前倒しで地元の事業に15億ポンド(約2,000億円)を投じており、英国原子力産業協会(NIA)のT.グレイトレックス理事長は、このような規模の投資のお蔭で地元企業1,100社が恩恵を被り1万人規模の雇用が創出されたと指摘。「HPC発電所は、英国政府が目標に掲げた『2050年までに国内すべての温室効果ガス排出量を実質ゼロ化』を実現する大きな一歩となるだけでなく、原子力で大規模なグリーン成長の機会がもたらされることを示している」と述べた。
同理事長によると、原子力はクリーンな熱電供給による脱炭素化で大きな役割を担い続けることが可能であり、英国では大型原子力発電所の建設プロジェクトとともに小型モジュール炉(SMR)や先進的原子炉技術の計画も進行中。経年化した既存の原子力発電所をリプレースする原子力プログラムは、英国政府の「CO2の実質ゼロ化」目標に年間数百億ポンドの付加価値を加えるだけでなく、数十万もの雇用を生み出す。
同理事長はまた、脱炭素化で原子力が果たす重要な役割を英国政府は認識しているが、今こそ原子力への支援を明確にし、具体的に取り組むべき時だと強調。英国の新しいエネルギー政策として、支援の規模を明確にすることや、不要なコストを排除して資金提供するメカニズムを設定することが重要だと訴えている。
(参照資料:EDFエナジー社、NIAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月1日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)