仏フラマトム社、米BWXT社の原子力サービス事業買収完了
03 Jun 2020
米マウント・アトス・ロードにあるフラマトム社の原子力パーツ製造センター ©フラマトム社
仏国のフラマトム社は6月2日、米バージニア州を本拠地とするBWXテクノロジー(BWXT)社が米国内で展開している商業用原子力サービス事業の買収を完了したと発表した。この取引により、同社は原子力発電所の点検・メンテナンス用に提供する機器・サービスでビジネスの幅を広げ、原子力部門における同社の立場を強化していく方針。ただし、BWXT社がカナダに置いている原子力機器製造・サービス事業はこの買収に含まれておらず、BWXT社は今後も北米と海外の事業は継続するとしている。
この取引はキャッシュレスで行われており、両社間でのいくつかの施設やリソースの交換が含まれる。フラマトム社はBWXT社の米国サービス事業関連の機器・設備のほかに、知的財産権や関係契約を譲り受ける一方、BWXT社はフラマトム社がバージニア州リンチバーグで保有するマウント・アトス・ロード製造施設の一部所有権を受け取る予定。フラマトム社はまた、買収にともない業務量の増加が見込まれる米国事業部門のサポートとして、既存のBWXT社チームから受け入れる方針である。
今回の買収についてフラマトム社のC.コルナン上級副社長は、「信頼性が高く競争力もある低炭素電源の原子力を将来にわたって持続させるため、一層の製品やサービスを原子力市場に提供できるよう製品リストを拡充し続けたい」とコメント。米国のみならず、世界中の原子力発電所で長期的な運転を下支えする点検・メンテナンス・サービスの提供で、同社の卓越した能力や専門的知見を今以上に強化していくと述べた。
一方、BWXT社のR.ゲベデン社長兼CEOは「この戦略的な取引により、当社は中心的事業である政府関係の原子力機器製造事業やサイト運営事業に専念できる」と指摘。これに原子力機器専門の製造では一流というフラマトム社のマウント・アトス・ロード施設が同社の拠点に加わり、宇宙開発用や軍用の超小型原子炉製造に向けた事業の拡大が可能になるとしている。
同社はバブコック&ウィルコックス(B&W)社が2014年に分社化した原子力機器・燃料サービス事業と米国政府の原子力事業対応専門企業。2017年8月に同社は米航空宇宙局(NASA)から有人火星ミッションに使用する熱核推進式原子炉の概念設計契約を受注したほか、今年3月に米国防総省(DOD)が軍事用の先進的な可動式超小型炉の原型炉建設と実証に向けて、同社を含む3社のチームと小型炉の設計契約を締結している。
(参照資料:フラマトム社、BWXT社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)