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UAEのバラカ原子力発電所で2号機が完成 

16 Jul 2020

2号機は右から2番目©ENEC

アラブ首長国連邦(UAE)で原子力発電の導入計画を担当する首長国原子力会社(ENEC)は7月14日、同連邦初の原子力発電設備として建設中のバラカ発電所(=写真)で2号機(140万kWのPWR)の建設工事が完了したと発表した。

すべての工事作業を終えた節目として、同炉の全システムが運転管理子会社であるNAWAHエナジー社に正式に引き渡された。NAWAH社は今後、燃料の装荷に先立ち連邦原子力規制庁(FANR)から運転許可を得るため、世界原子力発電事業者協会(WANO)など国際的な専門家による評価作業を同炉で実施する。ENECによれば2号機ではすでに実証試験が終了しており、構造上の安全性について優れた性能が確認されたほか、機器・システム類は国際的に最も厳しい安全・品質基準をクリア。NAWAH社のチームは運転開始に向けた準備作業をさらに進めていく考えである。

バラカ原子力発電所の建設工事は、2012年7月に1号機の作業が始まったのを皮切りに、ENECが主契約者の韓国電力公社(KEPCO)と協力して毎年一基ずつ、全4基の韓国製140万kW級PWR「APR1400」の建設作業を開始した。アラブ諸国にとっても初の商業炉となる1号機は、すでに2018年3月に完成しており、FANRは今年2月に60年間有効な運転許可を発給、3月には燃料集合体の初装荷が完了した。建設工事中の3、4号機については、現在までの進捗率がそれぞれ92%と85%となっており、発電所全体では94%に達している。

2号機に関しては、2018年8月に温態機能試験が成功裏に完了した後、2019年3月までに構造性能確認試験(SIT)と総合漏えい率試験(ILRT)が行われた。ENECのM.アル・ハマディCEOは、「今回完成した2号機の引き渡しは重要な節目となったが、これはUAEの原子力平和利用プログラムに携わるスタッフ全員の能力と献身の賜物である」と指摘。中東地域におけるクリーン・エネルギーへの移行を、UAEがKEPCOとの協力により主導するというビジョンをさらに具体化するものだとした。UAEはまた、この原子力プログラムを原動力にエネルギーの供給保証強化や経済の多様化を進め、国民のために高賃金の雇用機会を創出、UAEの社会や経済を成長させていく考えを表明している。

(参照資料:ENECの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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