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福島県立医大、福島第一原子力発電所事故に伴う心理的影響で調査

17 Jul 2020

福島県立医科大学健康リスクコミュニケーション学講座の研究チームはこのほど、福島第一原子力発電所事故に伴う心理的影響に関する論文を発表した。6日にオンライン英文科学誌「PLOS ONE」に掲載されたもの。

同研究では、マーケティングリサーチを手掛けるマクロミル社の協力を得て、2018年8月に福島県と東京都の各416人(20~59歳)にオンライン調査を実施。調査結果について、健康不安、精神的苦悩、放射線リスク認知、マインドフルネス(「今、この瞬間」を大切にする生き方)の関係を分析しモデル化した。その結果、福島県民、東京都民ともに、精神的苦悩に与えている影響は、放射線リスク認知よりも、全般的な健康不安の方が大きく、特に福島県民では学歴が高いほどその傾向が強く現れていた。また、東京都民では、放射線リスク認知と精神的苦悩との間に有意な関連性はみられなかった。これを踏まえ、研究チームの竹林由武助教は、「放射線への不安よりも、全般的な健康不安への支援が精神的苦悩の改善に有効では」などと述べている。

今回の調査では、精神疾患者を見つける「ケスラー6」手法なども用いた詳細な解析を実施。これらを通じ、福島におけるコミュニティ支援の効果や、災害発生時におけるマインドフルネス強化の重要性を指摘している。

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