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中国で田湾5号機が初臨界達成、福清6号機は格納容器にドーム屋根設置

31 Jul 2020

田湾5号機の初臨界達成を見守る中央制御室の運転員©CNNP

中国核工業集団公司(CNNC)傘下の中国核能電力有限公司(CNNP)は7月27日、江蘇省の田湾原子力発電所で中国48基目の商業炉となる5号機(111.8万kWのPWR)が同日の午前8時20分、初めて臨界に達したと発表した。

CNNCはまた28日、中国の独自ブランドとして開発した第3世代設計「華龍一号」の実証炉となる福建省の福清原子力発電所6号機(115万kWのPWR)で、25日に格納容器へのドーム屋根設置が完了したことを明らかにした。

田湾原子力発電所では、営業運転中の1号機から4号機(各100万kW級)まで、および将来的に建設予定の7、8号機(各120万kW級)にロシア型PWR(VVER)設計を採用。現在建設中の5、6号機(各111.8万kW)のみが中国製の「ACP1000」設計を採用しているが、これらはCNNCが仏国のPWR技術に基づいて開発した第3世代のPWR設計である。

2015年12月に本格着工した田湾5号機では、今月初頭に運転認可が交付された後、9日に燃料の初装荷作業が完了した。同月23日から24日にかけて中国北部の原子力発電所を管轄する放射線安全監督局が同炉の設備を点検した上で、26日に臨界達成に向けた作業の開始を承認。これを受けて同炉の制御棒が引き抜かれたもので、同炉は年内にも国内送電網に接続された後2021年中に営業運転入りすると見られている。

福清6号機©CNNC

一方、福清発電所では「華龍一号」の実証炉プロジェクトとして、CNNCが5、6号機の建設工事をそれぞれ2015年5月と12月に開始した。「華龍一号」はCNNCと中国広核集団有限公司(CGN)双方の第3世代PWR設計を統合して開発されたことから、CGNも同様にCGN版「華龍一号」の実証炉プロジェクトとして、江西省の坊城港原子力発電所3、4号機(各118万kW)をそれぞれ2015年12月と2016年12月に本格着工。これらのほかパキスタンのカラチ原子力発電所でも、「華龍一号」設計を採用した2、3号機(各110万kW)の建設プロジェクトがそれぞれ2015年8月と2016年5月から進行中である。

今回の発表によると「華龍一号」の格納容器は二重構造になっているため、飛来物の衝突その他の事故に際して十分な防護能力を持つ。また、同容器の鋼鉄製ドーム屋根は重さ約420トン、直径約53m、高さ約13mで、内部の構造物を守ることができるとしている。

なお、福清6号機より7か月先に着工した同5号機は、今年3月に温態機能試験が概ね完了。5、6号機はともに、今年中に送電開始可能になると予想されている。

(参照資料:CNNPの発表資料(中国語)、CNNCの発表資料(英語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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