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英ナショナル・グリッド社、ヒンクリーポイントCと変電所を結ぶ最初の鉄塔を一年後に設置へ

06 Aug 2020

©ナショナル・グリッド社

英国のナショナル・グリッド社は7月29日、南西部サマセット州でEDFエナジー社が建設中のヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所から、北東方向に57 km離れたエイボン州エイボンマス近郊の変電所までをつなぐ新たな高圧送電ルートの設置計画で、一年後の2021年7月末までに最初の高圧鉄塔(=完成予想図)を建設できる見通しになったと発表した。

ナショナル・グリッド社は英国内の送電事業を事実上独占している公益企業で、この計画は「ヒンクリー・コネクション・プロジェクト」と呼称している。HPC発電所からエイボンマス近郊のシーバンクまで、「Tパイロン」型の高圧(400kV)鉄塔を合計116基設置し、600万もの事業所や世帯にHPC発電所の無炭素エネルギーを供給するというもの。既存の送電網部分で改修を行うほか、57kmのうち48.5 km分を架空送電線でつなぐ。一方、メンディップヒル丘陵を含む8.5 km分は特別自然美観地域に指定されているため、パイロンを建てずに地下ケーブルを通すことになる。

重要なインフラ・プロジェクトである同ルートの建設工事は2018年に始まったが、ルート全体は14段階に分けて接続が進められることから、完成するのはHPC発電所1号機の営業運転開始が予定されている2025年になる見通し。使用する「Tパイロン」は約100年ぶりに設計を変えた高圧鉄塔で、一本の支柱にT字型の腕が取り付けられており、両方の先端に菱形のワイヤーが吊るされている。高さは約35mと従来の格子型400kVパイロンと比べて三分の一程度低く、必要とする設置面積も少なくて済む。

160万kWの欧州加圧水型炉(EPR)2基で構成されるHPC原子力発電所の建設工事は、仏国資本のEDFエナジー社が進めているもので、英国で約20年ぶりの新設原子力発電所計画となる。2018年12月に1号機の原子炉系統部分で最初のコンクリート打設を開始。今年6月に同社は、2号機用のコンクリート製ベース・マットが完成したことを明らかにしている。

(参照資料:ナショナル・グリッド社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月5日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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