中国、「華龍一号」設計の福清5号機で燃料の初装荷開始
08 Sep 2020
福清5号機の内部©CNNC
中国核工業集団公司(CNNC)は9月4日、福建省の福清原子力発電所で中国の独自ブランドのPWR設計「華龍一号」を採用した5号機(115万kWのPWR)に燃料を装荷する作業を開始したと発表した。
同炉では今年3月初頭に温態機能試験が完了、今月4日の午後に生態環境部(省)から同炉の運転認可が発給されたのを受けて、CNNC傘下のプロジェクト企業は午後3時半に燃料集合体177体のうち最初の一体を炉心に装荷した。同炉は「華龍一号」設計としては世界で初めて2015年5月に本格着工しており、同年12月に着工した同6号機(115万kWのPWR)とともに「華龍一号の実証炉プロジェクト」に位置付けられている。燃料の初装荷を開始したことで建設工事は主要システムの起動段階に移行、今年末までには送電を開始すると見られている。
「華龍一号」はCNNCと中国広核集団有限公司(CGN)双方の第3世代PWR設計である「ACP1000」と「ACPR1000+」を一本化して開発され、主要技術と機器の知的財産権は中国が保有。実証炉プロジェクトについては、CGN側もCNNCに続いてCGNバージョンの「華龍一号」設計の建設工事を開始しており、2015年12月と翌2016年12月に広西省の坊城港原子力発電所で3、4号機(各118万kWのPWR)を本格着工した。このほかCNNCは、福建省の漳州原子力発電所1、2号機(各121.2万kWのPWR)として同設計の採用を決定、2019年10月に国内5基目の「華龍一号」として同1号機の建設工事を開始している。
輸出用主力設計としての海外への売り込みも積極的で、CNNCとCGNは2015年12月、「華龍一号」の国際展開を促進するため、登記資本金5億元(約78億円)の合弁事業体「華龍国際核電技術有限公司」の設立を決めた。英国では同設計をブラッドウェルB原子力発電所に採用するため、原子力規制庁(ONR)が2017年1月から同設計の英国版「UK HPR1000」について包括的設計審査(GDA)を開始。同審査は今年2月に最終段階の第4ステップに進展しており、2021年後半にも7設計容認確認書(DAC)が発給される見通しである。
また、パキスタンではすでに、海外における同設計の採用初号機としてカラチ2号機(K2)と3号機(K3)(各110万kWのPWR)が2015年8月と2016年5月にそれぞれ本格着工した。K2についてCNNCは今月8日、「温態機能試験が4日付で完了し、燃料の初装荷に向けて盤石な基礎が築かれた」と発表。K3に関しても二重の格納容器の外壁で、ドーム屋根の吊り上げと設置が8月31日に完了したことを明らかにしている。
(参照資料:CNNCの発表資料(中国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月4日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)