中国:福建省漳州発電所建設サイトで「華龍一号」設計の2号機を本格着工
09 Sep 2020
漳州原子力発電所の完成予想図©CNNP
中国核工業集団公司(CNNC)傘下の中国核能電力股分有限公司(CNNP)は9月4日、福建省漳州(ショウシュウ)市の漳州原子力発電所建設サイト(台湾のほぼ対岸)で、2号機(121.2万kWのPWR)の原子炉系統が設置される部分に最初のコンクリートを打設したと発表した。CNNPは、これをもって同炉の建設プロジェクトが正式に開始されたと表明している。
同炉は昨年10月に着工した同1号機と同じく、CNNCと中国広核集団有限公司(CGN)双方の第3世代設計を一本化したPWR設計「華龍一号」を採用している。2014年7月当時、国家能源局は同サイトでウェスチングハウス(WH)社製AP1000を6基建設することを計画していた。しかし、建設用地について国土資源部(省)が同年8月に予備的見解を提示した後、プロジェクト企業の中核国電漳州能源有限公司に51%出資するCNNCと49%出資している国電集団公司、および福建省の関係機関は2016年1月、設計については中国が知的財産権を保有する「華龍一号」に変更するとの共同文書を国家能源局に提出。同サイトでは「華龍一号」を含め、第3世代の技術特性を有する100万kW級原子炉が合計6基建設される予定である。
漳州2号機の着工に先立ち、生態環境部(省)の東部原子力・放射線安全監督局が7月下旬、原子炉系統部分の基礎となるコンクリートの打設準備について検査を実施した(=写真)。中核国電漳州能源有限公司に対しては、「習近平国家主席の唱える生態文明建設思想(資源の節約と環境保全を優先する社会の建設)を全面的に実行し、原子力発電の安全確保で新たな状況にも適応、質の高い原子力発電開発を促進しなければならない」と指示している。
中国では現在、「華龍一号」の実証炉プロジェクトとしてCNNCが2015年から福建省で進めている福清5、6号機建設計画と、CGNの広西省・防城港3、4号機建設計画が最終段階を迎えつつある。これらのほかに、同じく「華龍一号」を採用したCGNの広東太平嶺1号機建設計画とCNNCの漳州1号機建設計画が昨年から始まったことから、中国国内で建設中の「華龍一号」は漳州2号機を含めて合計7基となっている。
(参照資料:中国核能電力有限公司(中国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月4日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)