中国で「華龍一号」初号機の福清5号機が初めて臨界条件達成
26 Oct 2020
左が5号機 ©CNNC
中国核工業集団公司(CNNC)は10月22日、世界初の「華龍一号」設計として2015年5月に本格着工した福建省の福清原子力発電所5号機(115万kWのPWR)が、21日の午後3時過ぎに初めて臨界条件を達成したと発表した。これにより同炉は正式に運転可能な状態に移行、年末までの営業運転開始に向けて重要な節目になったとしている。
同炉では今年3月に温態機能試験が終了し、9月4日に生態環境部(省)が運転許可を発給。その日のうちに燃料の装荷作業が開始され、同月10日には177体すべての燃料集合体の装荷が完了した。今後は同炉を送電網に接続するのに先立ち、様々な起動試験が行われる。同発電所ではまた、5号機から7か月遅れで着工した6号機でも「華龍一号」を採用しており、CNNCは「同設計を採用した国内外のプロジェクトは、安全性や品質などの点で順調な建設作業が進展中だ」と強調している。
「華龍一号」はCNNCと中国広核集団有限公司(CGN)双方の第3世代設計「ACP1000」と「ACPR1000+」を統合して開発され、主要技術と機器の知的財産権は中国が保有。CNNCの福清5、6号機建設計画、およびCGNが2015年12月と2016年12月に広西省の防城港原子力発電所で開始した3、4号機(各118万kWのPWR)建設計画は、それぞれのバージョンの「華龍一号」を実証するプロジェクトと位置付けられている。
CNNCはこのほか、福建省の漳州原子力発電所1、2号機に同設計を採用すると決定。2019年10月に国内5基目の「華龍一号」として1号機(115万kWのPWR)を本格着工した。またCGNも、同年12月に同設計を採用した恵州太平嶺原子力発電所1号機(115万kWのPWR)を広東省で着工している。
国外では、パキスタンのカラチ原子力発電所2、3号機(各110万kWのPWR)にCNNCバージョンの同設計が採用され、それぞれ2015年8月と2016年5月から建設工事を実施している。これらは同設計の輸出案件としては初のものとなったが、中国はパキスタンですでに稼働中の原子炉5基のうち、4基の建設プロジェクトを支援した。カラチ2号機については今年9月初旬に温態機能試験が完了、同炉と3号機の営業運転はそれぞれ2021年と2022年に開始すると見られている。
同設計はさらに、英国でEDFエナジー社が建設するブラッドウェルB原子力発電所(英国版の「華龍一号」×2基、合計出力220万kW)にも採用が決まっており、原子力規制庁(ONR)が2017年1月から同設計の包括的設計審査(GDA)を実施中。同建設計画ではCGNが66.5%出資するなど、主導的役割を担うことになっているが、これはEDFエナジー社とCGNが2015年10月、ヒンクリーポイントC原子力発電所建設計画への共同投資で合意した際に決定した。CGNはその際、サイズウェルC原子力発電所建設計画に対しても、20%の出資を約束している。
(参照資料:CNNCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)