原子力産業新聞

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秋の叙勲、瑞宝大綬章を東大名誉教授の小宮山氏が受章

04 Nov 2020

東大総長の頃の小宮山氏(左)、原子力機構・岡﨑理事長(当時)と連携協力協定調印式に臨んだ(2008年)

政府は11月3日、秋の叙勲受章者を発表。瑞宝大綬章を東京大学名誉教授の小宮山宏氏が受章した。

2005~09年に東京大学総長を務めた小宮山氏は、理工学分野における高等教育・研究活動で優れた業績をあげてきたほか、政府審議会委員を数多く歴任し教育改革や科学技術の振興に尽力した。原子力関連では、東京大学総長在任中、同学を拠点とする「グローバルCOEプログラム『世界を先導する原子力教育研究イニシアチブ』」(文部科学省事業、2007~11年度)を立ち上げ、基礎学力から社会リテラシーまでを統合した体系的な原子力教育の実践に取り組んだ。同プログラムの成果は教科書の形となり教育現場で活用されている。また、同氏は自宅に太陽光パネルを設置するなど、省エネルギー・新エネルギーの実践家としても有名だ。

瑞宝重光章を、元文部科学審議官の間宮馨氏、元文部科学事務次官の結城章夫氏、元経済産業審議官で日本エネルギー経済研究所理事長の豊田正和氏が受章。科学技術庁出身の間宮氏は、1999年のJCO事故の際、原子力安全局長として事故の収束や原因調査で指揮を執った。結城氏は、2005年に中央省庁再編後初の科学技術庁出身者として文部科学事務次官に就任。同氏は1971年の入庁後、ほぼ一貫して原子力部門に従事してきた。行政官退任後は、山形大学学長として重粒子線がん治療装置の導入推進に取り組むなど、放射線医療の普及で手腕を発揮。豊田氏は、経済産業審議官を退任後、宇宙開発戦略本部事務局長を経て、2010年に日本エネルギー経済研究所理事長に就任。総合資源エネルギー調査会委員も務めている。

外国人では、旭日重光章を、元米国原子力規制委員会(NRC)委員長のステファン・ギルバート・バーンズ氏が受章。2015~17年にNRC委員長(委員としては2014~19年)を務めたバーンズ氏は、日本の原子力規制委員会が「原子力発電所監視プロセス」(ROP)をモデルとした新検査制度を導入にするに当たり積極的な支援を行うなど、原子力安全規制の高度化や福島第一原子力発電所事故に関する国際理解促進において日米協力関係の強化に寄与した。

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