原子力産業新聞

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日本とインドネシアが原子力技術研究で共同シンポ開催

11 Nov 2020

開会挨拶を行う岡原子力委員長(オンライン会議)

原子力技術研究に関する日本・インドネシアの共同シンポジウム(オンライン会議)が11月11日に始まった。原子力委員会とインドネシア原子力庁(BATAN)との共催。両国の大学・研究機関や他国も含め260名、うち学生70名の参加が見込まれている。

原子力委員会が主導する東南アジア諸国を中心とした枠組「アジア原子力協力フォーラム」(FNCA)が2019年12月に行った大臣級会合の共同コミュニケでは、FNCAのネットワークを活用し人材基盤強化に向けた協力を深めていく方向性が示されている。これを踏まえ、今回の共同シンポジウムでは、2日間の議論を通じ、日本・インドネシア間の原子力技術・放射線利用分野における研究機関や大学との交流促進を図るとともに、研究開発の進展、国際的な人材育成確保に資することを目指す。

開会に際し、原子力委員会の岡芳明委員長は、日本の原子力技術・人材育成確保の現状について説明。大学における原子力教育や研究施設を活用した教育訓練に関し、東京大学拠点のプログラム事業で制作された教科書シリーズの英訳版や、日本原子力研究開発機構によるアジア諸国を対象とした講師育成研修コースを紹介するなど、国際的な人材育成支援活動に向け意欲を示した。

BATANのアンハル長官(オンライン会議)

続いて、インドネシアから、ディポネゴロ大学のアンバリヤント副学長が講演。原子力分野の国際協力活動として、FNCAの気候変動科学プロジェクトでオーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)と共同で実施された湖内堆積物のサンプリング調査を紹介した。また、BATANのアンハル・リザ・アンタリクサワン長官は、主に放射線利用を中心としたインドネシアにおける原子力科学技術の現状を披露。農業分野では放射線育種によりバナナ、大豆、米、菊の品種改良が行われているほか、医学、工業、環境保全、治水、食品衛生などの各分野における応用や、BATANの研究開発施設の取組としてインターネットを活用した原子炉実習も実施されているとした。

シンポジウムでは12日にかけて、原子力工学分野と放射線利用分野に分かれ議論する。

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