原子力産業新聞

海外NEWS

米印がインドの「原子力パートナーシップ・センター」における協力を10年延長

26 Nov 2020

「米印2プラス2」に出席した両国の関係閣僚
©US Department of State

インド駐在の米国大使館は11月24日に米印両国の共同声明を発表し、両国がインドの「世界原子力パートナーシップ・センター(GCNEP)」について10年前に締結した協力覚書を、10年間延長することで合意したことを明らかにした。

同覚書の延長は、10月27日にインドのニューデリーで第3回米印外務・防衛担当閣僚会議(米印2プラス2)が開催された際に決定した。この協議にはインドのS.ジャイシャンカル外相、米国のM.ポンペオ国務長官が両国の国防大臣とともに出席。協議のなかで両国は、「原子力の平和利用分野に関する協力のための米合衆国政府とインド政府との協定」が2008年10月に正式発効し、これに基づいて米国籍のウェスチングハウス(WH)社がインド東海岸のアンドラ・プラデシュ州コバダで同社製AP1000を6基建設することなったという事実に触れた。このことから両国政府は、WH社とインド原子力発電公社(NPCIL)との間で技術的な商業提案に向けた協議の進展を期待すると述べた。

GCNEPはインド原子力省(DAE)の後援により、2010年9月にインド北部のハリヤナ州に設置された原子力研究開発のための組織。正式に発足したのは2017年のことだが、GCNEPは原子力施設と放射性物質の効率的な監視や、核拡散抵抗性の高い先進的原子炉開発などのほかに、原子力・放射線利用分野の安全性向上に向けたマンパワー訓練などを目的としており、これらの分野毎に教育・訓練学校を5校備えている。

今回の共同声明では、放射線源のセキュリティも含めた原子力安全確保の重要性に鑑み、両国は引き続き原子力安全セキュリティの問題に取り組むと表明。世界の原子力安全体制を一層強化し、包括的かつ持続可能なものにしていくと明記した。

両国政府はまた、民生用原子力安全確保の分野で米印が連携強化する重要性を認識しており、両国国民および世界中の人々の利益を守る上で、米印の民生用原子力・放射線関係協力が大いに貢献していると改めて確認。こうした背景から、GCNEPにおける米印協力を10年間延長することになったと説明している。

今後の協力については、これまでの協力実績に基づき両国は以下の点に力を入れると表明した。すなわち、

・原子力安全セキュリティと原子力科学技術の研究開発促進に資する協力イニシアチブを、GCNEPの教育・訓練学校で推進する。

・次世代技術など様々な先進的プロジェクトの協力を通じて、原子力・放射線セキュリティに関する相互理解を深め、その結果を国際的な場で分かち合う。

・様々な見解を包括的に取り入れられるよう、両国の政府機関のみならず原子力・放射線セキュリティに関わるその他機関とも幅広く連携する。

(参照資料:米国大使館GCNEPの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

cooperation