中国で「華龍一号」の福清5号機が送電開始
01 Dec 2020
福清5号機の初併入を祝う発電所スタッフ ©CNNC
中国核工業集団公司(CNNC)は11月27日、世界で初めて国産第3世代炉「華龍一号」を採用した福清原子力発電所5号機(115万kWのPWR)を同日未明に送電網に接続し、初めて送電したと発表した。
これにより、CNNCは「諸外国による原子炉技術(市場)の独占状態を打ち崩し、中国は正式に原子力技術先進国の仲間入りを果たした」と表明。原子力大国から原子力強国への飛躍を実現する重要な節目になったとし、同炉の輸出促進で習近平国家主席が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」が一層強化されると強調している。
「華龍一号」はCNNCと中国広核集団有限公司(CGN)双方の第3世代PWR設計「ACP1000」と「ACPR1000+」を一本化して開発され、主要技術と機器の知的財産権は中国が保有。CNNCの発表によると、同設計では炉心の出力密度を下げて安全性の改善を図っているほか、設計上の運転期間は60年を想定している。輸出用主力設計としての海外への売り込みも積極的で、CNNCとCGNは2016年1月22日、「華龍一号」の国際展開を促進するため、登記資本金5億元(約78億円)の合弁事業体「華龍国際核電技術有限公司」を設立した。
「華龍一号」の実証炉プロジェクトと位置付けられた福建省の福清5、6号機建設工事は、2015年5月と12月にそれぞれ始めており、5号機では今年3月に温態機能試験が完了。9月初旬に177体の燃料が装荷された後、10月下旬には初めて臨界条件を達成していた。中国国内では今年8月、田湾5号機(111.8万kWの「ACP1000」)が送電開始したことから、福清5号機はこれに次いで年内にも中国49基目の商業炉となる見通しである。
福清5、6号機に続く「華龍一号」採用炉としては、中国国内でさらに5基(防城港3、4号機、漳州1、2号機、太平嶺1号機)、およびパキスタンのカラチ原子力発電所2、3号機が建設中である。作業においては安全性や品質ともに厳しい管理下に置かれているとCNNCは強調。2015年と2016年に本格着工したパキスタンの2基は、それぞれ2021年と2022年に営業運転を開始するとみられている。
また、英国でもブラッドウェルB原子力発電所建設プロジェクトへの採用が決まっており、同設計の英国版「UK HPR1000」を原子力規制庁(ONR)が2017年1月から包括的に審査中。2021年後半にも、設計承認確認書(DAC)が発給されると見られている。
(参照資料:CNNCの発表資料(英語版)と(中国語版)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)