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英国政府、サイズウェルC発電所建設計画でEDF社と交渉開始へ

15 Dec 2020

©BEIS

英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は12月14日に新しいエネルギー白書を公表し、この中でイングランド地方南東部のサフォーク州でサイズウェルC原子力発電所を建設する計画について、事業者のEDFエナジー社と交渉に入ることを確認した。

同社は現在、南西部サマセット州でヒンクリーポイントC原子力発電所(170万kW級の欧州加圧水型炉: EPR×2基)を建設中である。政府は現在の選出議員による議会会期中に、少なくとも1件の原子力発電所新設計画への投資を可能にするオプションを検討しており、サイズウェルC計画が進展した場合、建設と運転の両期間中に国内で数千人規模の雇用が創出されると政府は予想。交渉次第では、EDFエナジー社がプロジェクト実施の最終判断を下す前に、投じた金額に見合う価値のある取引として同社と政府の合意が成立する可能性もある。ただし、こうした結論に到達するまでには、建設計画の徹底した精査が行われるほか、法制面や規制面および国家安全保障面で政府の厳格な要件を満たす必要がある。

エネルギー白書は具体的に、規制資産ベース(RAB)モデルも含めて、新規の原子力発電所建設計画に資金調達が可能な複数のオプションを引き続き検討すると明記した。これによって、民間部門の投資を促進し消費者の負担も長期的に軽くする可能性を探るが、資金調達の規模によっては建設期間中に政府が財政支援する可能性も検討する。ただしその折には、建設計画に消費者や納税者の支払いに見合う確固たる価値が見いだせなければならない。

政府のこのような方針について、EDFエナジー社は同日コメントを発表した。同社の英国法人のS.ロッシCEOは、「ヒンクリーポイントC発電所やサイズウェルC発電所、および再生可能エネルギーへの投資を通じて、英国全土に雇用を創出しつつ、政府の目指す脱炭素化を支援していく」と表明。「そのためには今こそ行動を起こすべき時であり、原子力発電所新設計画への資金調達問題も含めて、エネルギー問題や地球温暖化防止政策の実施に向け政府に協力していきたい」と述べた。

同社で原子力開発を担当するH.カドゥ-ハドソン取締役も、「CO2排出量の実質ゼロ化に向け、大型原子力発電所の果たす極めて重要な役割が改めて認識された」と指摘。「サイズウェルC計画を進めるという政府の判断は、(排出量の実質ゼロ化に向け)B.ジョンソン首相が先ごろ公表した『緑の産業革命に向けた10ポイント計画』における重要施策を英国民のために実施し、数千人規模の雇用や実習制度の創出を約束する。国内の原子力サプライチェーンに属する数千の企業に対しても、大規模な支援を提供する」と強調した。

同取締役はまた、建設プロジェクトに適切に資金調達するモデルについても、政府と協議を始めたいと表明。サイズウェルC発電所はヒンクリーポイントC発電所と同型の原子炉を同数備えた発電所となる計画で、これにより建設コストや資金調達コストについては大幅な減少が予想されている。これらの点から同取締役は、「(両者の協議においては)費用対効果が見込めるとともに、消費者の負担も軽くなる資金調達策に必ず辿り着ける」との期待を示した。

今回の政府発表についてはさらに、英国原子力産業協会(NIA)のT.グレイトレックス理事長が歓迎の意を表明した。同理事長によると、英国では今後、化石燃料発電のみならず輸送部門ではディーゼルを、暖房部門ではガスを使うことも停止していくため、大型炉や小型炉、先進的原子炉に限らず無炭素な発電技術で現在の4倍の設備容量が必要になる。このため同理事長は、政府がその他の原子力開発事業者についても(「先進的原子力基金」の創設に最大3億8,500万ポンドを投じて)協働していくと約束した点を高く評価。ウィルヴァ・ニューウィッド原子力発電所建設計画やブラッドウェルB発電所計画、ムーアサイド発電所計画で確保されたサイトのすべてが、大規模原子炉の建設に適していると強調した。

(参照資料:英国政府EDFエナジー社NIAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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