フィンランドTVOの株主、オルキルオト3号機の完成に向け4億ユーロの追加融資に同意
18 Dec 2020
©TVO
フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は12月16日、オルキルオト原子力発電所で2005年から建設中の3号機(OL3)(172万kWのPWR)を完成させるため、同日に開催した臨時株主総会ですべての株主が4億ユーロ(約506億円)の追加融資を行うことに合意したと発表した。
同社のJ.タンフアCEOによると、株主らはOL3の完成に向けて最大の努力を払う方針であり、取締役会が提案した無担保の劣後融資協定(返済順位の低い融資取り決め)に一様に署名。同炉が運転開始すればフィンランドの電力需要の約14%を満たせるため、すでに約17%を賄っている同発電所の1、2号機と合わせて、長期にわたり同国に無炭素な電力を供給し続けられると述べた。
株主が新たな融資を承認したことで、TVOは同建設プロジェクトが必要とする資金化可能資産と自己資本比率を十分に維持できることになった。同社はこれまでに株主から承認した劣後融資をすべて実施済みであり、建設工事を請け負った仏アレバ社はOL3を完成させる財政的解決策を引き続き模索中。プロジェクトの完了時期については、アレバ社と独シーメンス社による企業連合とTVOが協議を続ける考えである。
OL3は世界で初めて欧州加圧水型炉(EPR)を採用して着工したが、フィンランド規制当局による関係文書の認証作業や下請業者による土木工事に想定外の時間がかかり、当初予定されていた2009年の完成スケジュールは大幅に遅延。フィンランド政府が同炉に運転認可を発給したのは2019年3月のことである。
これにともない、建設コストもTVOが同企業連合とターンキー契約を結んだ際の固定価格30億ユーロ(約3,798億円)を大幅に超過。TVOは2018年3月、完成までに要する総投資額を約55億ユーロ(約6,963億円)と見積もったが、その際に同企業連合と結んだ包括的な和解契約により、超過コストの一部および損害賠償金など合計4億5,000万ユーロ(約569億7,000万円)を同企業連合からTVOに支払うことが決定している。
TVOは今年4月、燃料の装荷許可申請書をフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)に提出しており、6月には装荷できると見込んでいた。しかし、建設中の各種試験の進行が遅く、プロジェクトの遅延にともなうメンテナンス作業量が増加したこと等により、今年8月時点のスケジュールで装荷の実施は2021年3月以降に延期。送電網への接続は同年10月に、営業運転の開始は2022年2月ずれ込む見通しである。
(参照資料:TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)