米国の公営電力事業体、ニュースケール社に同社製SMRのCOL申請準備を指示
13 Jan 2021
NPMの完成予想図©NuScale Power
米国のニュースケール・パワー社は1月11日、アイダホ国立研究所(INL)敷地内で同社製小型モジュール炉(SMR)の建設を計画しているユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)から、建設・運転一括認可(COL)の申請準備を行うよう指示されたと発表した。
西部6州の電気事業者48社で構成されるUAMPSは、SMR建設を柱とする独自の「無炭素電力プロジェクト(CFPP)」を2015年から進めており、同プロジェクトの管理と開発リスク回避のためにニュースケール社と最近締結した協定を、今回実行に移したもの。UAMPSは2023年の第2四半期までにニュースケール社製SMRのCOLをNRCに申請し2025年の後半までにこれを取得、その直後からSMRの建設を開始したいとしている。
ニュースケール社が開発した「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」はPWRタイプの一体型SMR設計で、出力5万kWのモジュールを12基接続することにより最大で60万kWの出力を得ることができる。同設計が昨年8月、SMR設計としては初めて原子力規制委員会(NRC)の「標準設計承認(SDA)」を取得したのを受け、UAMPSはNMP初号機が生産するクリーンで安全かつコスト面の効率性も高い無炭素電力がUAMPS所属の電気事業者に提供されるよう、今回COLの申請準備を最初の指示としてニュースケール社に通達。同社、および同社の親会社で大手のエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約企業でもあるフルアー社は具体的な作業として、建設コストのさらに詳細な見積金額を算出するとともに、SMR建設の許認可手続と製造等で初期作業の計画を立案することになる。
ニュースケール社のJ.ホプキンズ会長兼CEOは、「当社の画期的なSMR技術の商業化に向けて大きな一歩が刻まれた」とコメント。2022年頃にUAMPSからNPMの発注を受けられるよう、慎重に開発を進めていくと述べた。UAMPSのD.ハンターCEOも、「ニュースケール社のSMRを通じて価格の手頃な無炭素エネルギーをUAMPS所属の電気事業者に安定的に提供できる。我々の電力供給区域内で大規模な再生可能エネルギー源を開発し、SMRでその間欠性を補うことも可能だ」としている。
今回の発表によると、ニュースケール社とUAMPSが結んだ協定には「実費精算契約」が含まれており、完成したSMRの所有・運転会社となるCFPP社(UAMPSの100%子会社)には、INLを所有するエネルギー省(DOE)から複数年にわたって合計13億5,500万ドルの支援金が支払われる。
また、フルアー社もUAMPSと実費精算協定を締結しているため、フルアー社は建設地であるINLサイトに特化した設計・エンジニアリング・サービスの提供コストを見積もる方針。これに対してUAMPSは、CFPPに参加する電気事業者のニーズに合ったSMR発電所の規模(モジュールの連結数)や最適なエネルギー・コストを特定するため、評価作業を続ける考えである。
(参照資料:ニュースケール社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)