英環境庁、英国版「華龍一号」の設計審査でパブコメ募集
15 Jan 2021
UK-HPR1000の完成予想図©CGN
英国の環境庁(EA)は1月11日、中国製の第3世代PWR設計「UK-HPR1000(英国仕様の「華龍一号」)」に関する包括的設計審査(GDA)で予備的結論をとりまとめ、4月4日までの期間パブリック・コメントに付すと発表した。
GDA審査でEAは当該設計を英国内で建設した場合の環境影響評価を担当しており、UK-HPR1000については初期的評価に続いて詳細評価を実施しているところ。今回の発表では予備的結論として、「これまでに審査した環境影響の多くは受け入れ可能と判断した」ものの、「規制上、課題となり得る項目が6件残っており、UK-HPR1000設計を全面的に承認する前に解決しなければならない。また、UK-HPR1000の運転事業者が将来取り組まねばならない事項も40ほどある」としている。
GDAは英国内で初めて採用・建設される原子炉設計について行われる事前の認証審査で、土木建築工学から原子炉科学まで17の技術分野にわたる。設計の安全性については原子力規制庁(ONR)が審査する一方、環境影響面についてはEAが評価を実施。対象設計が安全・セキュリティと環境保全、および放射性廃棄物管理の面で英国の基準を満たしているかを判断する。最終的にONRが設計承認確認書(DAC)を、EAが設計承認声明書(SoDAC)を発給するまで約5年を要する。
中国広核集団有限公司(CGN)などの中国企業が開発した「UK-HPR1000」は、EDFエナジー社が2015年10月にヒンクリーポイントCとサイズウェルCの両原子力発電所の建設計画に対する投資約束をCGNから取り付けた際、エセックス州ブラッドウェルでEDFエナジー社が計画している後続プロジェクトに採用が決まった。このプロジェクトでは、旧型のマグノックス炉が2基稼働していたブラッドウェルA発電所(閉鎖済み)の隣接区域に、ブラッドウェルB発電所としてUK-HPR1000を2基建設する予定。同プロジェクトが建設段階に入った場合、CGNは66.5%を出資することになる。
UK-HPR1000のGDAは2017年1月に準備段階の第1ステップが始まっており、この審査活動の管理会社としてEDFとCGNが設立した合弁企業「ジェネラル・ニュークリア・サービシズ(GNS)社」は、同年9月からEAとONRに関係文書の提出を開始。同年11月に第2ステップの審査が開始された。
その後、GDAは2020年2月に最終段階の第4ステップに進展しており、EAは2022年初頭にも詳細評価を完了する方針。その際すべての課題が解決済みであれば、UK-HPR1000を全面的に受け入れ可能とする声明書を、未解決の課題が残った場合や新たな課題が浮上した際は暫定的に承認する声明書を発表するとしている。
(参照資料:英国政府、環境庁の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月11日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)