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ブラジル、アングラ3号機の建設再開に向け土木建築契約の入札公告

02 Mar 2021

アングラ1、2号機©Eletronuclear

ブラジル原子力発電公社(Eletronuclear)は2月25日、建設工事が2015年以来中断しているアングラ原子力発電所3号機(140.5万kWのPWR)の作業を再開するため、一部の土木建築工事と電気機器組み立て工事について国内企業向けの入札公告を官報に掲載した。

3号機の完成までには別途、EPC(エンジニアリング・資材調達・建設)契約企業を選定して、建設工事全体を委託することになるが、その前段階の作業を少しでも進めておくことが今回の入札の目的。5月までに土木建築工事の請負企業と契約を結び、10月には複数の構造物について改めて最初のコンクリートを打設する。その後、2022年後半にEPC契約企業との契約に調印し、2026年11月には3号機の運転を開始したいとしている。

アングラ3号機は同1、2号機に次ぐ国内3基目の商業炉となる予定で、1976年に独シーメンス社に機器発注して開始されたが、景気の後退等により1986年に作業が中断した。政府の建設再開決定を受けて、原子力発電公社は2010年6月に3号機で最初のコンクリートを打設したほか、2011年には仏アレバ社から一部の機器を購入することで同社と合意。しかし、関係する汚職の調査や財政問題等により、建設工事は2015年9月に再び停止した。

原子力発電公社の2月19日付け発表によると、アングラ3号機の建設再開については鉱物エネルギー省(MME)が最優先事項として進めており、昨年以降いくつかの打開策により大きく進展中である。議会の上院も2月初旬、アングラ3号機が発電した電力の価格改定を可能にする法改正を承認。建設プロジェクトで収益が確保されるよう、既存の電力供給契約を終了し新たな価格で契約を締結することが可能になった。

アングラ3号機が発電する電力の基準価格は、ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)が改訂することになっており、その算出に当たりBNDESは、建設プロジェクトの経済性維持と財政的実行可能性を考慮に入れる方針。BNDESはまた、同炉の完成までに必要な投資額を約150億レアル(約2,840億円)と試算していたが、これについても改訂を行うとしている。

原子力発電公社のL.ギマランイス総裁は今回の入札公告について、「アングラ3号機の建設再開がようやく現実のものになった」と表明。同炉はブラジルの電力システムの供給保証強化と多様化に貢献するだけでなく、その発電電力はコストの高い火力発電所に取って替わることになると指摘した。同炉はまた、温室効果ガスを排出しないことから、ブラジルのエネルギー生産における脱炭素化をまた一歩前進させると強調している。

(参照資料:ブラジル原子力発電公社(ポルトガル語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月1日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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