原子力産業新聞

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フィンランドで建設中のオルキルオト3号機で燃料の初装荷開始

29 Mar 2021

OL3©TVO

フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)が3月26日付けでオルキルオト原子力発電所3号機(172万kWの欧州加圧水型炉:EPR)(OL3)に燃料の装荷許可を発給したのを受け、事業者のティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は翌27日、同炉で装荷作業を開始した。

128トンのウラン燃料が含まれる全241体の燃料集合体は、2018年にフラマトム社の燃料製造工場から建設サイトに到着していたもの。装荷作業の完了までに約1週間を要するとしている。

OL3の建設工事は2005年8月、世界で初めてEPR設計を採用して開始されたが、規制関係文書の確認作業や土木建設工事、品質検査等に想定外の時間を費やした。当初の完成予定年は2009年だったが、TVOは2020年8月、その時点の最新スケジュールとして「2022年2月にはOL3で定常的に発電を開始できる」と発表。今回の発表でも、OL3の送電開始は今年10月になるほか、営業運転を意味する定常的な発電の開始は2022年2月であると繰り返しており、この期間にOL3は様々な出力レベルで合計10億~30億kWhを発電する見通しである。同社はまた、OL3一基でフィンランドの総電力需要の約14%が賄われると強調している。

TVOが燃料の装荷許可をSTUKに申請したのは2020年4月のことで、この時期に世界では新型コロナウイルスによる感染が拡大していた。OL3の建設サイトで、TVOは建設プロジェクトへのリスクを最小限に抑えるための対策を実施。同年12月には、同プロジェクトに必要な自己資金等を十分確保するため、同社の株主は臨時株主総会で4億ユーロ(約516億円)の追加融資を行うことに合意した。建設工事を請け負っている仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合も、プロジェクトの完了まで十分な資金が確保されるよう、関係機関から支援を受けながら取組みプランを作成していた。

一方のSTUKは燃料の装荷許可発給に際し、同炉が安全要件に適合していることや、緊急時とセキュリティ面の対応策が十分整っていることを確認した。同炉では、燃料が核兵器開発用に拡散されるのを防ぐ対策も適切に取られているほか、原子力損害が発生した場合の賠償責任も事業者が適切に手配しており、燃料の装荷準備は整ったと結論付けた。

なお、燃料を装荷した後の数か月間、TVOはOL3で改めて温態機能試験を実施する方針である。初回の温態機能試験はすでに2018年5月に完了しているが、TVOは引き続き機器の点検や最終確認等の作業を実施し、システムが正確に機能するか検証。原子炉系統とタービン系統で使用前の試験を行うほか、異なる圧力と温度の下で様々な試験を行う。また、OL3の出力上昇等に関する情報は、同社のウェブサイトや証券取引所への提出文章等で公開するとしている。

(参照資料:STUK、TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月26日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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