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中国、SMR「玲龍一号」の実証炉を本格着工

14 Jul 2021

「玲龍一号」の実証炉建設工事©CNNC

中国核工業集団公司(CNNC)は7月13日、中国南端の海南省(海南島)に位置する昌江原子力発電所で、多目的小型モジュール炉(SMR)「玲龍一号」の実証炉建設工事を正式に開始したと発表した。

CNNCによると、「玲龍一号」は出力12.5万kWの一体型PWRで、CNNCが2010年から「第12次5か年計画」の主要プロジェクトとして、10年以上にわたる研究開発を通じて開発した。知的財産権もCNNCが保有しており、2016年4月にはSMR設計としては初めて、国際原子力機関(IAEA)の「包括的原子炉安全レビュー(GRSR)」をパス。今回のプロジェクトで「玲龍一号」は世界で初めて陸上で建設されるSMRとなり、中国が世界のSMR技術をリードしていることを示すものだとCNNCは強調している。

「玲龍一号」は元々、「ACP100」と呼称されており、CNNCは福建省莆田市でこの「ACP100」を2基建設することを計画していた。しかし、CNNCはその後、建設サイトと登録商標を変更した上で2019年7月に「玲龍一号」の実証炉建設プロジェクトに着手すると発表。同プロジェクトは、海南自由貿易港の建設に向けてクリーンなエネルギーの供給を保証するものであり、CNNCと海南省政府が結んだ戦略的協力協定の成果となる。今年6月にはまた、国家発展改革委員会が同プロジェクトの実施を最終承認していた。

CNNCの発表によると、モジュール化された小型のSMRは従来の大型原子炉技術とは異なり、完全に受動的な安全系によって高い安全性を確保しているほか、短期間で建設できるという特長がある。クリーンな分散型エネルギー源として利用が可能なため、海水の脱塩や地域の冷暖房用熱供給に加えて、離島や鉱山地区、エネルギー多消費産業に対するエネルギー源として、様々なシナリオに対応。「玲龍一号」が海南省で完成した場合、年間の発電量は10億kWhに達し、52万6,000世帯に電力供給が可能だ。また、化石燃料の消費を抑えられるため、CO2排出量の大幅な削減にも貢献するとしている。

「玲龍一号」の実証炉が建設される昌江原子力発電所では現在、I期工事(1、2号機)として第2世代の出力65万kWのPWR「CNP600」が稼働中。Ⅱ期工事となる3、4号機については、中国が知的財産権を保有する第3世代の120万kW級PWR設計「華龍一号」が採用される予定で、今年3月に3号機の正式な着工式が執り行われた。

(参照資料:CNNC(中国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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