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スロベニア、クルスコ原子力発電所で2基目の建設に向け手続き開始 

20 Jul 2021

クルスコ発電所における2基目の完成予想図©GEN Energija

スロベニア国内で複数の電力会社を束ねているGENグループの親会社であるGENエネルギア社は7月19日、既存のクルスコ原子力発電所(PWR、72.7万kW)における2基目の原子炉建設に向けた計画(JEK2プロジェクト)の準備作業を開始すると発表した。

これは、JEK2プロジェクトの実行可能性調査(FS)の結果から、政府のインフラ省(MOI)が同日、「エネルギー許可」をGENエネルギア社に発給したことに基づく。これによって2基目の建設が決定したわけではないが、100%国営企業の同社は今後、スロベニアが原子力発電設備を増強し、長期的に活用していくため様々な作業を実施する。

発表によるとFSでは、スロベニアが将来、信頼性のある電力を国内で生産して低炭素な電力への移行を効率的に果たし、2050年までにCO2排出量の実質ゼロ化を達成する上で「同プロジェクトは必要であり、技術面や環境面からも実行可能」との結論が示された。また、同プロジェクトへの投資に先立ち、複数の専門的調査が行われており、それらの結果も今回、「エネルギー許可」が発給される根拠となった。同プロジェクトでは最終的に、具体的な立地点の選定や承認、プロジェクトへの投資決定などを経て、建設工事を実施することになる。

GENエネルギア社は現在、同国で唯一の原子力発電設備であるクルスコ原子力発電所を所有。同発電所がスロベニアの総発電量の約4割を賄っていることから、同社はCO2を排出しない原子力の主要な役割を指摘した上で、「それと同時に強靭な回復力を備えた国内の電力システムを維持し、手頃な価格で電力を安定的に供給するにも必要だ」と強調した。

同社はまた、「原子力は今後も持続可能なエネルギーとしてスロベニアに重要な貢献をする低炭素電源であり、GENグループにおける電力供給の柱だ」と指摘。こうしたことから、同プロジェクトはGENグループの中で中心的な戦略的開発プロジェクトになると説明した。

同プロジェクトでGENエネルギア社は、(発電所の最終的な規模にもよるが)第3世代の原子炉で年間80億~120億kWhの電力を得ることを目指している。新しい原子炉は、年間8%以上という電力輸入量を削減し、拡大傾向にある風力や太陽光など再生可能エネルギーのバックアップ電源として電力を安定供給。JEK2プロジェクトへの投資は、スロベニア経済全体に良い影響を及ぼすとしている。

JEK2プロジェクトにエネルギー許可を発給したことについて、インフラ省のJ.ヴルトヴェツ大臣は、「当省にとっては最も重要な決断の一つだった」と述べた。理由として、スロベニアが最新の地球温暖化防止戦略の中で、2050年までにCO2排出量を実質ゼロ化する目標を掲げているため、この決断によって後の世代の人々の福祉や環境にも影響が及ぶことなどを説明。「スロベニアは今後、独自の低炭素エネルギー供給やエネルギー供給の自立という合理的なエネルギーシナリオの最終判断を下すため、基盤を築いていく」と述べた。具体的には、幅広い公開協議の実施や関係する行政手続き、JEK2プロジェクトに対する投資決定文書の準備などを開始する考えである。

(参照資料:GENグループの発表資料(スロベニア語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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