原子力産業新聞

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2020年度版原子力白書が発表、福島第一原子力発電所事故発生から10年で特集

28 Jul 2021

原子力委員会定例会の模様

原子力委員会は7月27日の定例会で2020年度版の原子力白書を決定、発表した。今回は、3月に福島第一原子力発電所事故発生から10年を迎えたのをとらえ、特集として、10年を経た「福島の今」、事故の検証と教訓、福島の復興・再生について整理。これを踏まえ、原子力委員会として、「すべての原子力関係者が忘れてはならないこと」、「すべての原子力関係者が協働して取り組まなければならないこと」を述べている。

白書の冒頭で、上坂充委員長は、「福島の着実な復興と再生、様々な改善に真摯に取り組むことは、わが国の原子力利用にとって必須であるとともに、世界に誇ることのできる活力ある日本を再生していくために必要不可欠な要素」と、今回特集の意義を強調。白書は今後、閣議配布となり諸々の政策立案に供されるものとなるが、定例会での決定に際し、上坂委員長は、「わかりやすくまとまっている」と、所感を述べた上で、9月に開催予定のIAEA総会他、OECD/NEAなどの国際機関に紹介する考えとともに、人材育成の観点から大学の講義で活用されることにも期待を示した。

原子力委員会がまとめた福島第一原子力発電所事故に関する見解(原子力白書より引用)

福島第一原子力発電所事故発生から10年を過ぎ、白書では、「10年以上の長期にわたって住民や地域社会にここまで大きな被害をもたらすことを誰が予想していただろうか」と自省。福島が直面している課題の一つとして、「風評」と「風化」をあげ、原子力関係者に対し、「二度と事故を起こさないために、原子力災害に関する記憶と教訓を忘れないこと」、「事故によって生じた風評が固定化され、福島の人たちを苦しめている」と、改めて強調。風評問題が復興・再生の壁となっていることを指摘し、「専門的な取組だけでなく、福島を知ること、行ってみること、食べてみることといったシンプルな取組を続けることも重要」などと、各人による地道な努力の必要性を述べている。

白書では随所にコラムを設けており、世界的な新型コロナウイルスの拡大を踏まえた経済回復や環境保全における原子力の役割に関し、OECD/NEA、世界原子力協会(WNA)が2020年に発表した政策文書について取り上げている。

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