中国でロシア製の徐大堡3号機を本格着工
04 Aug 2021
遼寧省の徐大堡発電所建設用地©中国核学会
中国核工業集団公司(CNNC)傘下の中国核能電力股分有限公司(CNNP)は7月28日、遼寧省で徐大堡原子力発電所3号機(PWR、127.4万kW)の原子炉建屋部分にコンクリートを打設した。
上海証券取引所に対する同社の8月1日付け公告で明らかになったもので、設計は第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER-1200)、設計上の運転期間は60年である。同機は、同型設計となる後続の4号機とともに、徐大堡原子力発電所のⅡ期工事となる予定で、それぞれ2027年と2028年の完成を目指している。一方、Ⅰ期工事の1、2号機(各100万kW級PWR)については、今のところ未着工となっている。
CNNCとロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は2018年6月、江蘇省にある田湾原子力発電所と新規サイトの徐大堡で2基ずつ、合計4基のVVERを新たに建設する枠組契約を締結。これに基づき、CNNCとロスアトム社傘下の原子力発電所建設・輸出企業アトムストロイエクスポルト(ASE)社は2019年6月、徐大堡Ⅱ期工事としてVVER-1200を2基建設するための一括請負契約に調印した。
今年2月には、ロシアの原子力機器製造企業のアトムエネルゴマシ(AEM)グループが、徐大堡3号機用に主要機器の製造をロシアで開始。最終的に2基分の蒸気発生器や冷却材ポンプ、加圧器などを製造・納入するとしており、5月には田湾7、8号機と徐大堡3、4号機の起工式が執り行われた。これには、中国の習近平国家主席とロシアのV.プーチン大統領が、テレビ会議を通じて参加している。
徐大堡発電所建設計画では2006年当時、最終的に100万kW級PWRを6基建設することが計画されていた。2011年初頭にⅠ期工事の2基について、基礎掘削の前段階の起工式が行われたものの、同年3月に福島第一原子力発電所事故が発生したため、政府は計画を一時凍結した。その後、2014年4月に国家核安全局(NNSA)が同計画に「サイト承認」を発給。2016年10月に1、2号機について土木建築契約が結ばれた折、同サイトでは100万kW級のウェスチングハウス社製AP1000が建設されると見られていたが、その後、中国版AP1000の「CAP1000」になることが判明している。
同発電所の所有者は中核遼寧核電有限公司で、これにはCNNCが50%以上出資。残りを大唐国際発電股分有限公司や国家開発投資公司、江蘇省国新資産管理集団有限公司などが10~20%ずつ出資している。
(参照資料:上海証券取引所の発表資料(中国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月3日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)