原子力委員会、原産協会より理解促進の取組についてヒア
08 Sep 2021
「JAIF出前講座」アンケート結果、受講後で原子力発電への考え方が肯定的に
原子力委員会は9月7日の定例会合で、原子力利用の理解促進に関する取組について、原産協会よりヒアリングを行った。
原産協会からは、新井史朗理事長らが出席し、同協会が活動の柱の一つとして掲げる「国民理解促進」に向けて実施している情報発信と双方向の理解活動の状況について説明。〈原産協会発表資料は こちら〉
ホームページ掲載とメール配信を基本とする情報発信では、原子力産業新聞(国内外ニュース)、「Atoms in Japan」(海外から関心の高い情報の英語発信)の他、会員組織からのニーズに応じた専門的情報として主要国・国際機関の調査報告の収集・発信、若者に親しみやすいコンテンツとして動画サイト「オレたちの原子力 あたしの原子力」(専門家が1分程度で疑問に答える)などを紹介。これに対し、佐野利男委員は「広報活動は10~30年を要するもの」として、小中学生も対象に長期的な視野で取り組んでいく必要性を指摘した。
また、双方向の理解活動として新井理事長は、大学・高専生を対象にエネルギー・環境、原子力発電、高レベル放射性廃棄物処分、放射線利用に関する情報を提供し意見交換を行う「JAIF出前講座」や、2021年3月に完成した「原子力発電 THE ボードゲーム」の受講者・体験者の意識変化・感想を主に説明。2005年度から全国各地で実施されている「JAIF出前講座」は、これまで443回開催、延べ22,200名参加の実績を積んでおり(開始当初は地域オピニオンリーダーを対象とした)、最近では感染症対策のためオンラインや動画配信も積極活用している。受講前後のアンケート調査結果から、「日本で原子力発電を利用していくこと」への賛同や「原子力発電が電気の安定供給に役立つこと」への理解が増加していることから、新井理事長は「効果が目に見えている」とした。
原産協会の若手職員の発想から「幅広い年代に、楽しみながら原子力発電についての知識を深めてもらい、原子力発電に対してポジティブなイメージを持ってもらう」ことをねらいに制作した「原子力発電 THE ボードゲーム」は、「JAIF出前講座」を開催した大学・高専、会員組織の広報・PR館へ約200セットを頒布しており、原子力産業新聞での掲載を通じボードゲームカフェや一般家庭からも問合せが来ている状況。実際にプレイした人からの感想としては、「原子力発電を知らない小学生も関心を高めてくれると実感した」との評価や、「原子力だけに限定せず、エネルギーミックスについて考えるゲームを作成しては」といった改善提案もあった。
家族でボードゲームを楽しんだという上坂充委員長は、次世代層への関心喚起に向け、エネルギーミックスや廃炉をテーマとする可能性や、PC・スマートホンを活用した教育コンテンツの開発などにも言及し、「さらに興味が広がるよう、一歩一歩進めて欲しい」と期待を寄せた。