原子力産業新聞

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サクラマス

2019.12.16

「サクラマス」という魚、みなさんご存知ですか?

私も最近知ったのですが、「さけ」の仲間で、渓流の女王と呼ばれる日本の代表的な渓流魚「ヤマメ」とは、元々は同じ魚だそうです。サクラマスとヤマメの違いは、なんとずばり「育ち方」。秋に卵をふ化し、1年くらいは川(淡水)で生活を送った後、川に残るのが「ヤマメ」で、海に下るのが「サクラマス」となるそう。

川に残るか、それとも海に下るか、魚にとっても究極の選択だと思いますが、一説によると、「餌の取り合い」による結果であると考えられているそうです。川で餌の取り合いに勝った方が川に残り、一方、敗れた方が餌を求めて大海原に降りサクラマスになるとのこと。

川では生存競争に負けてしまったものの、敵も多い海に新たな新天地を求め、そこでたくましく生き抜き、生まれ故郷の川に戻ってくる--何ともサクラマスは、なかなか恐れを知らない根性のある魚です。サクラマスのように、諦めずに何事にもチャレンジする精神は大切だと幼い息子にも説いて聞かせよう、と感心することしきりです。

が、今、新たな説として、川に残るか、それとも海に下るかというのは、生存競争の結果ではなく、既に生まれたときの「DNAレベル」で決まっているとかなんとか。これでは折角のサクラマスの不撓不屈なイメージが台無しです…

科学技術が進歩し、これまで分からなったことが解明されて素晴らしいこともたくさんありますが、全てを科学で丸裸にされてしまうのも「味」がなくなってしまいますね。

大野薫

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