原子力産業新聞

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あたしの在宅勤務

2020.07.30

今の小学生には、学校から毎日たくさんの宿題が出ますが、そのなかの一つに国語の「音読」があります。

毎回、教科書のなかから一つ選んで音読するのですが、息子が読んだ最初のフレーズに思わず「あっ」と声を上げてしまいました。私が小学生の時に読んだ話が、未だに教科書に載っているではありませんか!

「これは、レモンのにおいですか?」ではじまるあまんきみこさん作の「白いぼうし」。初夏の清々しさと夏みかんのいい香りが今にも匂い立ちそうな素敵な物語です。ちなみに、女の子と最後のもんしろうちょうが同一なのかどうか、少し謎を残す話でもあります。

なぜ私がこの「白いぼうし」の話を覚えているかというと、小学生だった頃、都会から引っ越してきた転校生がクラスの皆の前でこの物語を初めて音読した際、先生がその子の感情表現豊かな読み方をいたく褒めていたことが強く印象に残っていたからです。

田舎の小学生だった私はその時、やはり都会から来た子は違うな~と感心するとともに、少し嫉妬したのを覚えています。この話を今読み返してみると、当時とはまた違った感慨が沸いてきます。

教科書下の目次を見ると、これまた有名な新美南吉さんの「ごんぎつね」が載っていました。小学生の時はきつねが最後殺されてかわいそうくらいにしか思わなった話が、つぐないに魚や栗を届けたごんの気持ちを想うだけで、今では涙腺崩壊です。

時が流れても作品が持つその素晴らしさに変わりはありませんが、それらをまた読み返すと作品に対して当時とは全く違った感慨を抱きます。

要は、それだけ年をとったということですね。

大野薫

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