原子力産業新聞
これがデータセンターだ!

データセンターとは? -インターネットの裏側で支える巨大インフラ

text:石井敬之

私たちが日常的に利用しているクラウドサービス、動画配信、オンラインストレージ、そして近年注目を集める生成AIの学習や推論など、あらゆる分野で膨大なデータがやり取りされている。こうした大容量データを処理・保存する施設こそがデータセンターである。データセンターとはサーバーやネットワーク機器を大量に収容し、大規模な情報処理を行う拠点を指す。企業のITインフラを支えるのみならず、政府機関や研究機関、さらにはAI関連の開発プロジェクトなど、多岐にわたる分野で欠かせない存在となっている。

その形態も多様で、進化し続けている。特定の企業が占有する『完全専用型』のデータセンターもあれば、複数の企業がシェアするデータセンター、さらには一部をストレージスペースとして提供する貸倉庫のようなデータセンターもある。いまや国内外のクラウド企業だけでなく、金融機関、製造業、医療機関など、幅広い業界がデータセンターの建設を求めている。特に外資系企業の市場参入が増え、プロジェクトの規模や仕様にも変化が見られるようになった。

とりわけ近年は、深層学習や大規模言語モデル(LLM)のように膨大なパラメータを処理するAIの普及に伴い、従来以上に強力な計算リソースが求められている。クラウドプロバイダーが運営するデータセンターでは、AI専用のGPU(Graphics Processing Unit)やTPU(Tensor Processing Unit)などのアクセラレータをはじめ、超大規模なクラスター(複数のサーバーやコンピューターを連携させ、一つの大規模なシステムとして動作させる構成のこと)を構築する動きが加速している。こうした先端技術を安定稼働させるには、計算リソースだけでなく、耐震・防災、電源の二重化、効率的な冷却、厳重なセキュリティなど、数多くの要件を満たす必要がある。

データセンターは、世界中のインターネット接続や企業の基幹システムを下支えする「現代社会の基盤インフラ」といえる。大容量データが飛び交う現在、私たちが当たり前のように利用しているネットワークサービスの“裏側”には、膨大な数のサーバーやネットワーク機器が、文字通り24時間休むことなく稼働し続けているのである[1][2]

データセンターの立地条件 〜千葉・印西市が選ばれる理由〜

「データセンターを建設するなら、単に広い土地があればどこでもよい」というわけではない。巨大施設を安定稼働させるためには、自然災害リスクの低減、電力インフラの整備、ネットワークのバックボーン回線へのアクセス、さらには地域の温度・湿度特性など、多面的な条件を慎重に検討しなければならない。その中でも、地盤の安定性はとりわけ重要な要素である。活断層からの距離や洪水リスクの低さなど、地質調査の結果を踏まえて立地が決定されるケースが多く見られる。

とはいえ実際のところ、液状化しやすい土地でも適切な対策を施せば問題なく建設できるようだ。技術者によれば、ボーリング調査を実施し、必要に応じて液状化対策を講じることで、データセンターの立地は十分に可能だという。例えば、地盤改良を行い、液状化を抑制し、耐震性を高める手法がある。また、液状化リスクを考慮し、建物の基礎構造を工夫することで、万が一の際にも機能を維持できる設計が採用される。

印西市が注目される背景

日本国内では、千葉県印西市がデータセンターの集積地として注目を集めている。その理由として、まず地盤が強固であることがあげられる。印西市は下総台地に位置し、比較的硬い地盤であると評価されている。また、周辺に明確な活断層が存在しない地域とも言われており、断層変位のリスクが低減される。地震発生時にも大きな揺れをある程度抑制する可能性が高く、大規模施設の安定稼働には大きなメリットである。

そして、海岸線から離れた内陸部に位置しているため、津波に襲われる可能性が低く、河川氾濫のリスクも限定的である。大雨や台風時にも堅牢な防災体制を敷きやすい環境といえる[3]

さらに印西市は、北総線とJR成田線の2路線で、比較的容易に都心へアクセスできるにも関わらず、土地価格が都心部よりもはるかに安価である上に、行政による企業誘致の支援策が手厚い[4]。大手通信事業者やクラウドプロバイダーが相次いでデータセンターを建設しているのは、こうした地理的・地質的優位性に加えて、交通網・電力インフラ・行政支援などの総合的な要因によるところが大きい。

なお、印西市に限らず国内外のデータセンター建設に目を向けると、北欧における寒冷地域特有の自然冷却を活用したケースや、内陸部の気候安定性を狙ったケースなど、地域地域に応じたデータセンター建設が加速している。自然災害リスクの軽減や地理的条件の最適化、そしてカーボンニュートラルなエネルギーの導入を見極めることが、今後もデータセンターの立地を考える上での重要なポイントになりそうだ。

データセンターの構造と設備

データセンターは、電力、冷却、セキュリティ、ネットワークなど、多方面にわたる技術が結集した複合施設である。以下に、代表的な構成要素を説明する。

1. サーバールーム
高密度ラック:サーバーは通常「ラック」に搭載され、大規模データセンターでは数万〜数十万台におよぶサーバーが収容されている。サーバーのスペックも多様化しており、CPUに加えGPUやTPUなどのアクセラレータを搭載するケースが増えている。とりわけAIの学習にはGPUリソースが不可欠であり、大量の高性能GPUを搭載した「GPUサーバークラスター」が重視される傾向にある。
ラック配置とケーブルマネジメント:サーバーやネットワーク機器をつなぐケーブルは膨大な量になるため、空調効率やメンテナンス性を損なわないように配線ルートやラック配置が厳密に計算されている。
2. 冷却システム
空調システム(CRAC=コンピュータールームエアコン/CRAH=コンピュータールームエアハンドラー):従来から使用されてきた空調による冷却であり、サーバールーム全体の温度と湿度を一定に保つ。
液冷技術(リキッドクーリング):近年注目される手法で、冷却水をサーバー内部(CPUやGPUなど高発熱部位付近)に直接循環させる。空調よりも効率的に熱を奪うことが可能で、省電力化に貢献すると期待されている。
環境に応じた冷却手法:立地条件を活かす形で、寒冷地や海岸近くの外気を取り込むフリークーリングや、地下空間を利用した冷却など、多種多様な手段が検討されている。
3. 電力供給システム
冗長化された電源設備:大規模データセンターでは複数系統の外部電力を導入し、無停電電源装置(UPS)や非常用発電機を備えることで停電リスクを最小化している。
デュアルパワーフィード:独立した複数の電力ルートを確保し、一方の系統に障害が起きても、もう一方でサービスを継続できるようにしている。
バックアップ燃料の備蓄:非常用発電機の長時間稼働に必要な燃料を備蓄し、定期点検を実施している。
4. 通信ネットワーク
超高速光ファイバー回線:データセンターの生命線ともいえるネットワークは、10Gbpsや100Gbps、さらにはテラビット級の帯域を扱うケースもある。
多拠点接続と冗長構成:複数キャリアの回線を利用し、障害時にもダウンしないよう冗長化されている。また、複数のデータセンター間を専用線で結び、負荷分散やバックアップを行う設計が増えている。
5. セキュリティシステム
論理的セキュリティ(サイバーセキュリティ):ファイアウォールや侵入検知システム(IDS)、暗号化技術などを駆使し、外部からの攻撃を防ぐ。
物理的セキュリティ:施設周辺に常時監視カメラを設置するほか、バイオメトリクス認証(指紋や虹彩など)を含む多要素認証、二重扉の入退室管理など、厳重な対策がとられている。
アクセス権限の厳格化:データセンターの運用スタッフであっても、すべてのエリアに立ち入れるわけではなく、業務範囲に応じて細かくアクセス権限が設定されている。

※二つの扉が連続して設置され、一方の扉が閉じないともう一方の扉が開かない仕組みの出入口。

6. 耐震設計・災害対策
免震・制震構造:日本のデータセンターでは建物自体に免震装置を採用するなど、高度な耐震技術が導入されている。
防水・防火対策:サーバーを水や火災から守るため、防水工事やガス消火器を中心とした自動消火システムを備える。
災害時のBCP(Business Continuity Plan=事業継続計画):大規模地震や台風などの自然災害を想定し、データセンター間のフェイルオーバー(Failover=システムやサーバーに障害が発生した際に、自動的に別の予備システムへ切り替え、業務を継続させる仕組み。システム停止時間を最小限に抑える)やバックアップ、緊急時の連絡体制など、綿密な計画を策定している。

このように、データセンターはサーバーのみならず、電力・冷却・セキュリティ・ネットワークなどさまざまな要素が統合された施設である。これらの総合技術によって、デジタル社会が24時間365日止まることなく運営されているといえる[5][6]

冷却技術の進化とリプレースの現実

データセンターの冷却システムから発生する廃熱の再利用については、技術者の間でも議論が続いている。

「データセンターの廃熱で温泉ができたら…」という話が出るほど、活用の可能性はある。しかし、関係者によれば、「データセンターの排熱はそれほど高温ではなく、中途半端な熱なので使い途がない」という。

また、サーバー容量の拡大により水冷化が進展し、既存のデータセンターが設計変更を余儀なくされるケースも増えている。発熱量の増加に伴い、かつて空冷で設計された施設では冷却性能が追いつかず、水冷化対応へのリプレースが求められる。

サーバーが高性能化するとスペースは小さくなるが、それを冷却するための設備がスペースを必要とするようになる。「これではまるでイタチごっこだ」との声も上がる。最新技術の導入と既存設備の活用、このバランスをどう取るかが今後の課題となりそうだ。

電力と立地——データセンター建設の決め手

「クライアントは『まず電気を確保してください』が本音」(業界関係者)。

データセンター建設において、最も重要なのは「電力の確保」だ。送電網が安定し、電力供給が確保しやすい地域が選ばれる。海外では、SMR(小型モジュール炉)とデータセンターを直結する構想も進行中だ。

「送電インフラが不安定な地域では、プロジェクト自体が5年、10年スパンの計画になってしまう」(同)。それほど電力はデータセンターの生命線なのだ。

大規模なデータセンターになると5万kWクラスの電力を必要とする。自家発電設備としてディーゼル発電機を設置する場合、1基あたりの最大出力は4000kVA程度。ガスタービン発電機でも6000kVA程度である。100%のバックアップを目指す事業者の場合には、複数の連係線を確保するだけでなく、多数の発電機を設置する必要性が生まれる。

また、通信環境も無視できない要素だ。データセンター建設に詳しい関係者によれば、「スマホでゲームをやっていて、動きが遅くなったらユーザーはかんかんだろう。だから必然的に大都市圏に近いところに立地される」とのことだ。データの送受信速度が求められる中、ユーザーの近くにデータセンターを設置することが、安定した通信環境を実現するカギとなる。

データの送信から受信までの所要時間のことを「遅延(レイテンシ)」と呼ぶが、一般に東京から大阪までのレイテンシが約10ミリ秒(ミリ秒=1000分の1秒)、東京から米ニューヨークまでは180ミリ秒程度とされる。頻繁にデータを送受信するシステムやアプリケーションでは、僅かなレイテンシでもパフォーマンスに大きな影響が生じることは、オンラインゲーム経験者であればご存知だろう。レイテンシは小さければ小さいほどよい。というわけでデータセンター立地のイメージとしては、東京・大阪の中心地から50km以内が理想的だという。

電力供給と環境負荷 〜持続可能なデータセンターへの挑戦〜

データセンターは膨大な電力を消費するため、環境負荷をどう低減していくかが世界的な課題である。ある大手クラウドプロバイダーのデータセンターは、1サイトで小規模都市並みの電力消費量との試算もある。今後もデータ量の増加が続くことを考えれば、電力の安定供給とCO₂排出量削減の両立は急務といえる。

1. 再生可能エネルギーの活用
グローバルIT企業の取り組み:Google、Amazon、Microsoftなどは、データセンターの電力を再生可能エネルギーでまかなうことを目標として掲げている。太陽光発電や風力発電などを積極的に導入し、必要な電力を自前あるいは近接地域の発電所から購入する事例が増えている。
カーボンニュートラルの実現:単に再生可能エネルギーの使用率を上げるだけでなく、CO₂排出量を正確に算出し、クレジット購入などの手段で排出量を相殺する取り組みにも力が注がれている。
2. 高効率な冷却技術の導入
フリークーリング:寒冷地の外気を直接取り込み、冷却コストを大幅に下げる手法である。自然環境を活用することで、環境負荷の軽減にもつながる。
海中データセンターの実験:Microsoftが行った「Project Natick」は、データセンターを海底に設置し、海水を利用した自然冷却を試みる研究である。海中は外部環境から隔絶されているうえ、温度が安定しているため、長期間の運用において省エネルギー効果が見込まれる。
3. 省エネルギー化の推進
サーバーの自動最適化:サーバーが処理する負荷(CPUの使用率など)に応じて、クロック周波数(処理速度)や電圧を自動で調整し、未使用リソースをスリープ状態に移行するなど、AIを活用した高度な省エネ手法が進められている。
PUE(Power Usage Effectiveness=電力使用効率)の改善:データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値がPUEである。値が1.0に近づくほど効率が高いとされ、事業者各社が冷却方式や施設設計の工夫によってPUEを引き下げようと競い合っている。

世界のデータセンター業界では持続可能性を意識した運営が求められており、再生可能エネルギーの利用促進や新しい冷却技術の導入、AIを活用した省エネルギー化が世界規模で加速している。気候変動とデータ需要の拡大が交錯する中で、環境負荷を抑えながらインフラを拡張していくことが、今後の主要な課題となるだろう[7][8][9]

高品質・安定電力とは何か

データセンターは現代社会において不可欠なインフラである。特に、24時間365日稼働させる必要があるため、停電や瞬断といったトラブルが許されず、電力の安定供給が重要となる。しかも、単に安定しているだけではなく、周波数や電圧の変動が極力抑えられた「高品質」な電力を必要とするのである。例えば、わずかな電圧低下や瞬断がサーバ機器の故障やシステム障害の原因となり、サービス停止につながるリスクを伴うため、バックアップ設備も含めて品質基準が厳格である。

この「高品質・安定電力」という観点で、原子力が注目されている。ベースロード電源として24時間安定した出力を維持しやすく、燃料交換サイクルも長い。また、CO₂排出を抑えつつ大規模な電力を供給できる点も魅力となる。加えて、技術的には比較的安定した周波数制御が可能であり、瞬断や周波数変動を嫌うデータセンターにとって最適な電源と指摘する向きも多い。

原子力以外のエネルギー源との比較・課題

再生可能エネルギー(太陽光や風力など)はクリーンな電源として注目される一方、出力変動が大きく、データセンターのように常時安定稼働が求められる分野では、大規模な蓄電池やコージェネレーションシステムとの組み合わせが必要となる。火力発電は出力調整の柔軟性に優れるが、CO₂排出量や燃料コストの高騰リスクが懸念材料となっている。

一方、原子力にも建設コストの高さや廃棄物処理の問題、事故リスクの低減策など、社会的合意形成の面で課題が存在するのも事実である。しかし、既存の大規模送電インフラとの親和性が高いことや、ベースロード電源としての特性が評価され、海外では、データセンター向けの電源として期待が寄せられている。原子力は、安定性と信頼性に加え、国内外でのデータセンター拡大を支える長期的な電力需要に対応できる選択肢の一つとして、位置づけられている。

まとめ

データセンターは、IT社会を根底で支える巨大インフラである。クラウドサービスやAI、IoTなど、私たちの生活や産業を支えるデジタルサービスの基盤ともいえる存在であり、その重要性は今後さらに拡大すると見込まれる。

しかし同時に、立地条件や建築構造、電力・冷却技術、セキュリティ、BCPなど、多角的な要素が高度に組み合わさり、はじめて安定運用が可能となる。また、環境負荷の低減と持続可能性は避けて通れない課題である。データセンターの消費電力は膨張する一方であり、再生可能エネルギーの活用や革新的な冷却技術、AIを活用した省エネルギーなど、多面的なアプローチが求められる。

私たちの生活や産業を支える“絶対に止まらない”基盤として、データセンターは地理的条件を厳選した堅牢な施設と最先端技術を組み合わせ、世界中の情報を24時間365日支え続けている。その存在はまさに「現代の要塞」ともいえる。

脚注

  1. Uptime Institute (2022). Global Data Center Survey.[]
  2. Cisco (2021). Global Cloud Index: Forecast and Methodology.[]
  3. 国土地理院 (2020). 「地盤情報公開システム」[]
  4. 千葉県企業誘致推進連絡協議会 (2024). 「千葉県企業立地ガイド」[]
  5. The Green Grid (2021). Data Center Cooling Best Practices.[]
  6. Schneider Electric (2022). Ensuring Power Infrastructure Resiliency in Data Centers.[]
  7. Google (2022). Environmental Report: Leading in Energy Efficiency.[]
  8. Microsoft Research (2021). Project Natick: Underwater Data Center Feasibility Study.[]
  9. Greenhouse Gas Protocol (2020). Measuring CO₂ Emissions in Data Centers.[]

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