世界では7億人以上が電気を知らない生活を送っている。
数10億人は頻繁に停電する環境で暮らしている。
貧困から脱し、生活の質を高めるには、信頼性の高い、クリーンで安価な電気の供給が不可欠である。また、このような電気は、そのほかの持続可能な開発目標の多くを達成する上でも必須である。
貧困を減少させることは、賃金の高い仕事を提供し、経済成長を支えることを意味する。これは特に発展途上国に当てはまる。原子力発電所の建設・運転は質の高い雇用の機会をもたらすだけでなく、インフラと教育に対する投資を促し、経済に強力な相乗効果をもたらす。
貧困がおよぼす影響は、発展途上国において特に深刻であるが、燃料の貧困(fuel poverty)は先進国の低所得世帯においても起こりうる。
原子力発電のコストは化石燃料発電、特に天然ガス発電のコストに比べ、燃料価格の変動による影響をずっと受けにくい。化石燃料価格が急上昇しエネルギー価格が高騰しても、原子力があれば影響を抑制できる。言うまでもないことだが、エネルギー価格の高騰は低所得世帯を直撃する。
電力部門の脱炭素化に際しては、電気料金の支払いなど低所得世帯の人々におよぼす影響も考慮に入れる必要がある。低炭素な電気を供給する上で最も低コストな方法の1つは、今ある原子力発電所の運転期間を延長することだろう。