新たに原子力発電所を導入する国であろうとも、すでに原子力発電所を導入済みだが次世代の人材を備えたいと考える国であっても、原子力分野の人材育成は大変重要である。新規原子力プロジェクトにおいては、教育がプロジェクトの一部となっている。
アラブ首長国連邦(UAE)の「エネルギー・パイオニア・プログラム」では、UAE国民に原子力スペシャリストとしての専門技能を習得し、実地経験を積んで、国内で発展しつつある原子力産業界でさまざまなキャリアを積むための機会を提供している。原子力産業の歴史が長い英国では、長年教育の機会を提供しているだけなく、現在建設中のヒンクリーポイントC原子力発電所において、建設期間中に1,000もの実習プログラムが設定されている。
国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)、世界原子力協会(WNA)、世界原子力発電事業者協会(WANO)が創設した世界原子力大学(WNU)には、リーダーシップ/コミュニケーション/技術訓練を提供し、次世代の原子力界を担うリーダーを支援するというミッションがある。WNUの国際ネットワークを活用し、原子力発電、アイソトープ製造、放射線の医学・産業利用──などの分野における将来のリーダーのために、訓練プログラムを提供している。原子力の新規導入国や開発途上国の学生は、IAEAの支援により、WNUが提供する6週間の夏季研修コースに参加することができる。
米国などの国々では、原子力発電所は地域の税収増加に寄与しており、地域の学校教育システムを支援している。