原子力産業新聞
06 安全な水とトイレを世界中に

原子力は
温室効果ガスを排出せずに
クリーンな水を提供する

原子力の貢献
具体的には
原子炉による淡水化で、必要とする人々にクリーンな水を提供することができる
  • 原子力は、誰もがクリーンな水と衛生環境の利用を可能とする目標達成に中心的な役割を果たす。
  • 原子炉熱を利用した海水淡水化プラントでは、化石燃料を用いた淡水化プラントで排出される温室効果ガスを排出せずに、クリーンな水を作り出す。

クリーンな水が容易に手に入ることは、経済発展と人々の健康に不可欠である。世界保健機関(WHO)は、2025年までに世界人口の半分が水不足の地帯で生活することになる、と予測している。

海水淡水化によって水不足の地帯が直面する課題に対処はできるが、大半の淡水化プラントは化石燃料で稼働しており、温室効果ガスを排出してしまう。

それに対し原子炉は電力を供給するだけでなく、クリーンな水を作り出すこともできる。原子炉は電気を作るタービンを回すために蒸気熱を発生させるが、残った熱は海水を沸騰させるのに利用できるのだ。
この蒸気を凝縮するとクリーンな水となり、取り除かれた塩は海に戻すことができる。

また、放射線利用によって水をクリーンにすることもできる。繊維産業は水に加えて染料、洗濯用のり、酸、塩、洗剤などの化学物質を大量に使用する。通常、これらは化学的に処理され、二次廃棄物が生じる。しかしながら、この化学的処理の代替として電子線が用いられている。電子線は衣類染料の化学結合を分離させ、汚染物質を取り除き、水を再利用可能にする。中国南部のある繊維工場ではこの技術を利用した結果、年間で最大4,500万m3もの真水を節約することができた。これは、約10万人の水消費量に相当する量である。

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