各国内また国々の間で、エネルギーに平等にアクセスできないことにより世界中の個人や経済に及ぶ有害な影響は甚大であり、大気汚染から供給不足による価格の変動まで多岐にわたる。エネルギーは政治的手段として利用することができ、またそのように利用されおり、輸入化石燃料に大きく依存するエネルギーシステムは外的な影響を受けやすい。これにより、最も弱い立場にいる人々や国々が特に被害を受けることが多い。原子力はエネルギーへのアクセスにおける不平等の緩和に役立つ。
原子炉の燃料であるウランは世界中のいろいろな場所に豊富に存在する。原子燃料は敷地内に何年間も容易に保管することができ、将来発生し得る供給問題への保険となる。サプライチェーンが豊富であり、保管も容易であることから、自国のエネルギーシステムを管理しやすくなり、その結果、現在さまざまな国で生じているエネルギーアクセスの深刻な不平等を緩和することができる。
さらに、原子力は価格の変動による影響を受けやすい低所得世帯を護る。化石燃料発電所にかかる燃料費は運転にかかる総費用の大部分を占めるため、消費者は燃料価格変動の影響にさらされることになる。一方、原子力発電所の場合、燃料費は総運転費の10%未満であり、ウランの価格変動が全体的な発電費用に及ぼす影響ははるかに小さい。これはつまり、原子力が、市場の不安定さにより生じる不利益を被りがちであった低所得世帯を守り、高所得世帯と低所得世帯の間の不平等を緩和することもできることを意味する。