文化功労者、高エネ研名誉教授の鈴木厚人氏らが選ばれる
26 Oct 2021
2008年にKEK機構長としてJ-PARC中性子利用に関する協定締結式に臨む鈴木氏(右端、左より岡﨑原子力機構理事長、橋本茨城県知事、永宮J-PARCセンター長〈いずれも肩書は当時〉、原子力機構提供)
政府は10月26日、2021年度の文化功労者計21名の選定を発表。素粒子物理学での功労者として、高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授で岩手県立大学学長の鈴木厚人氏が選ばれた。
鈴木氏は、東京大学宇宙線研究所の「大型水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置」(スーパーカミオカンデ)によるニュートリノ(宇宙から飛来する、物質を形づくる分子や原子よりも小さい最小単位の粒子)の観測で素粒子物理学の発展に多大に貢献。2006~15年には高エネルギー加速器研究機構機構長を務めた。在任中、中性子産業利用の機運の高まった2008年には、大強度陽子加速器研究施設「J-PARC」の物質・生命科学実験施設(MLF)の供用開始に際し地元茨城県他と中性子利用促進に関する協定を締結したほか、次世代線形加速器「国際リニアコライダ―」(ILC)計画の実現に向け産学連携で取り組む「先端加速器科学技術推進協議会」の立上げにも関わるなど、素粒子物理学を通じた産業・地域振興にも尽力した。
文化功労者には、この他、先般、気候変動に関する研究でノーベル物理学賞を受賞したプリンストン大学客員研究員、海洋研究開発機構フェローの眞鍋淑郎氏(文化勲章受章も決定)、俳優・歌手の加山雄三氏、劇作家・演出家の唐十郎氏、「機動戦士ガンダム」シリーズで知られるアニメ映画監督・原作者の富野由悠季氏らが選ばれている。