原子力産業新聞

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「はばたく中小企業・小規模事業者300社」決定、東北エンタープライズなど

23 Dec 2021

中小企業庁は12月22日、革新的な製品・サービス開発、地域経済の活性化、多様な人材活用の観点から、優れた取組を行っている中小企業・小規模事業者300社を選定し発表した。「地域経済と雇用を支えていることに加え、わが国の競争力と経済活力の源泉」との視点に立ち、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」として毎年実施している取組で、今回、「生産性向上」、「需要獲得」、「人材育成」の3つの分野で全国から推薦された企業・事業者について、有識者による審査を経て選定されたもの。

その中で、「人材育成」の分野では、原子力発電所を始めとしたプラント保守や、国内外の発電所向け機器・資材の卸売を行う(株)東北エンタープライズ(福島県いわき市、従業員数43人)が選定された。同社は、米GE社の原子力発電所技術者であった前代表が1980年に福島県富岡町で創業した企業で、現在は福島第一原子力発電所の廃炉作業にも携わっている。世界の750社との取引があり、特にプラント保全に有用な超音波診断機器は海外市場で約75%のシェア。同社卸売事業部では専門商社として世界各国の企業から機器・資材を調達しているため、2か国語以上の語学能力を持つ人材を日本人、外国人の分け隔てなく積極的に雇用。多様な人材の登用とともに、自宅で受講できる社外オンライン研修制度、ベテランスタッフとペアを組んだ新人教育など、能力開発支援にも力を入れている。

また、「生産性向上」の分野では、毎年約100件のオリジナル実験教材を開発するなど、理科教育の充実に寄与しているケニス(株)(大阪市、従業員数140人)が選定された。同社は放射線実験キットも多数取り扱っている。今回の選定では、ペーパーレス化、ネットワークの無線化、在宅勤務の導入、出退勤・経費精算の電子化など、労働環境の見直しを図り、売上を毎年増加させながら2年間で勤務時間の20%削減を達成したことが評価された。同社では、新しい物流センターを近く稼働させ、さらなる作業省力化を図る計画だ。

「需要獲得」の分野では、東日本大震災による全機能喪失から再建を果たした老舗ふかひれ製造業者の(株)石渡商店(宮城県気仙沼市、従業員数44人)が選定された。同社は、震災後、主力商品のふかひれ以外にも気仙沼産の牡蠣を使用したオイスターソースを開発するなど、伝統文化を守りつつも地元の水産資源にこだわった商品開発に取り組み、食材としての可能性を切り拓くことで地域の産業振興に貢献した。

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