原産協会「2022原子力新年の集い」が2年ぶりに開催
06 Jan 2022
原産協会は1月6日、「2022原子力新年の集い」を都内のホテルで2年ぶりに開催。会員企業・組織、関係省庁、駐日大使館などから330名が訪れ、立食形式での歓談は行わず、着席にて参加した。
年頭挨拶に立った今井敬会長は、地球温暖化への対応を巡る世界の動きを振り返った上で、「資源に乏しい日本において、脱炭素社会の実現と経済発展を両立させるためには、クリーンで、かつ発電コストが安定している原子力を最大限に活用することが最も合理的な手段となる」と明言。一方で、日本のエネルギー政策における原子力の位置付けに関し「活用方針は依然不明確なまま」と指摘した。また、「2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減」とする目標引き上げを踏まえ、昨秋に閣議決定された第6次エネルギー基本計画の達成に向けたシナリオは「非常に厳しい」と強調。再生可能エネルギー拡大に係る地理的制約、デジタル技術の活用に伴う電力需要増などに触れた上で、「日本のエネルギー政策において、原子力の正当な価値が認められ将来にわたる活用が明示されるよう、当協会として引き続き国民や関係機関に強く訴えかけていきたい」と述べた。
続いて来賓として訪れた萩生田光一経済産業相が挨拶。萩生田大臣は、「新型コロナによる危機を乗り越えた先の新しい社会を見据え、着実に成長の種をまいていく必要がある」と述べ、岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けて、経済産業行政を取り巻く課題に総力を挙げて取り組んでいく決意を示した。また、東日本大震災から間もなく11年を迎えるのに際し、「福島第一原子力発電所事故の真摯な反省が原子力政策の出発点」との姿勢を改めて示し、福島復興と廃炉・汚染水・処理水対策を着実に進めていく考えを強調。エネルギー政策に関しては、「資源が乏しく周囲を海に囲まれたわが国は、原子力、再生可能エネルギー、天然ガス、水素・アンモニアなど、多様なエネルギー源を活用することが重要」と述べ、エネルギー基本計画の具体的な政策の実現に向け、原子力については技術開発や人材育成に係る議論を深め、再稼働、使用済燃料対策、最終処分などに着実に取り組んでいくとした。
また、電気事業連合会の池辺和弘会長に替わり、清水成信副会長が挨拶文を代読。関西電力美浜3号機の国内初となる40年超運転開始、中国電力島根2号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可取得など、2021年の進展を振り返った上で、引き続き原子力発電の安定運転を通じた「S+3E」(安全性、エネルギーの安定供給、経済効率性、環境適合性)の実現、信頼の積み重ねに努め、稼働率の向上とともに、核燃料サイクル事業、最終処分に係る取組を事業者間で連携し進めていくとした。