原子力産業新聞

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島根県・丸山知事、島根2号機の再稼働容認を表明

02 Jun 2022

県議会に臨む島根県・丸山知事(インターネット中継)

島根県の丸山達也知事は、6月2日の県議会本会議で中国電力島根原子力発電所2号機(BWR、82万kW)の再稼働を容認する考えを表明した。近く同社に対する正式回答とともに、国、立地・周辺市町村、隣接する鳥取県への伝達がなされる運び。BWRの再稼働に係る地元理解表明がそろうのは、2020年11月の東北電力女川原子力発電所2号機に続き2基目となる。

同機の再稼働に向けては、新規制基準への適合性に係る審査で2021年9月に原子炉設置変更許可に至った後、現在、設計・工事計画認可の審査が進められているところだ。

島根2号機再稼働に向け、知事は国・電力に対し要請を行うことを表明

本会議で、丸山知事は、これまでの県内における住民説明会などであがった意見に対する考えを述べた。安全性に関する不安については、「中国電力には安全に対する意識改革の徹底を求め、国には検査等を通じその安全に対する姿勢や取組の確認を求めるとともに、必要に応じ安全協定に基づき立入り調査を行う」として、周辺住民の安全確保に万全を期す姿勢を改めて強調。防災対策については、避難に必要な道路・輸送手段、要支援者の避難先、感染症流行下における防護措置など、国・関係機関・電力と連携した対応策を述べた上で、「訓練や避難方法の周知などを通じ、避難計画の実効性を高めるための取組を継続していく」と説明。また、エネルギー政策における原子力の位置付けに関しては、国による「再生可能エネルギーと省エネルギーだけで電力を安定的に賄うことは、現状では困難。原子力発電が一定の役割を果たしている」との説明を理解したと明言。さらに、中国電力が示した「中海・宍道湖・大山圏域では、年間220億円に上る経済効果があり、発電所に従事する人の半数程度が居住している」とする地域経済・雇用に及ぼす効果を踏まえ、島根2号機の再稼働を容認する姿勢を示した。

丸山知事は、福島第一原子力発電所事故による被災地を自ら訪れた経験を振り返り、「失われたものを取り戻すことの大変さを痛感した」と述べた上で、島根県民の原子力発電に対する不安に鑑み「苦渋の判断だった」と強調。本会議の場で、知事は、島根2号機の再稼働に向けて、中国電力および国に対する要請事項案を発表した。

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