原子力産業新聞

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原子力機構他、高速炉に適用する3次元免震装置を開発

05 Sep 2022

ユニット型3次元免震装置(原子力機構発表資料より引用)

日本原子力研究開発機構は9月2日、ナトリウム冷却高速炉などの次世代原子力システムに適用可能な水平方向と上下方向の地震力を低減するユニット型の3次元免震装置を開発したと発表した。富山県立大学、東京電機大学、日本原子力発電、三菱FBRシステムズ、大林組、川金コアテック、平和発條、ブリヂストンとの協力によるもの。〈原子力機構発表資料は こちら

原子力機構によると、高速炉の機器設計要求では、構造物の厚さが耐熱設計の観点からは薄肉構造に、耐震設計の観点からは厚肉構造になるという相反する傾向があるため、薄肉構造でも耐震設計が成立するよう、地震荷重の大幅低減に着眼した原子炉建屋への3次元免震システムの導入が検討されてきた。3次元免震システムには、支持機能、復元機能、減衰機能の3つの機能があり、そのうちの水平方向の減衰機能については、昨秋に従来の約2倍以上の許容速度を持つ高性能オイルダンパを開発している。

今回開発されたユニット型の3次元免震装置は、主に支持機能と水平方向の復元機能を積層ゴム(ブリヂストン製作)が、上下方向の復元機能を皿ばね(平和発條製作)が担うとともに、水平免震機能と上下免震機能を持つ機器を1つに統合して建屋下部に設置することで、設置の簡便化とメンテナンスの容易さも格段に向上。同研究成果は、精密機器工場やデータセンターなど、一般建築物の耐震性向上への応用も期待されている。

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