規制委 高経年化プラントの安全規制で新たな制度案示す
04 Nov 2022
高経年化炉の安全規制について議論する原子力規制委員ら(インターネット中継)
原子力規制委員会は11月2日の定例会合で、高経年化した原子力発電プラントに関する安全規制の検討に向け、現行の運転期間延長認可と高経年化技術評価の2者を統合する新たな制度案を示した。
運転期間の延長が「原子力政策の今後の進め方」[1]8月24日GX実行会議に経済産業相提出の「日本のエネルギーの安定供給の再構築」に記載の中で課題の一つにあがったことから、現在、総合資源エネルギー調査会で検討が進められているが、今後、60年を超えて運転する可能性も見据え、規制側として制度設計の準備を進めるもの。
規制委員会は10月15日の定例会合で、資源エネルギー庁よりヒアリングを行い、「運転期間に係る方針は利用政策側の法体系の中で検討される。規制側としては、高経年化した原子炉の安全確認のための規制について明確化する」ことを確認。原子力規制庁に対し今後の制度設計に係る指示を出していた。
新たな制度案では、運転開始から30年以降、10年を超えない期間ごとに、安全上重要な機器の劣化状況を把握し経年劣化に関する技術的評価を行うとともに、その評価結果に基づいて施設の劣化を管理する「長期施設管理計画」を策定することを事業者に対し義務付ける。同計画の認可を受けずに運転した場合は設置許可取り消しもあり得るというもの。運転期間の上限については言及していない。
委員・規制庁の間では、経年劣化といわゆる「設計の古さ」との相違や、新規制基準に未適合のプラントの扱いに関して議論となり、引き続き検討を深めていくこととなった。
山中伸介委員長は、会合終了後の記者会見で、「現行制度よりはるかに厳しい高経年化炉に対する規制となる」と繰返し強調。制度の大枠については年内に固める考えを述べた。
脚注
↑1 | 8月24日GX実行会議に経済産業相提出の「日本のエネルギーの安定供給の再構築」に記載 |
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