エネ研 2023年度のエネルギー展望を発表
10 Jan 2023
日本エネルギー経済研究所は12月27日、2023年度のエネルギー展望を発表した。
それによると、一次エネルギー国内供給は、2022年度に対前年度比0.7%の微減となるが、人の移動の増加に伴う輸送量回復に加え、鉄鋼や自動車の増産により2023年度には同0.9%増と、2年ぶりに増加に転じる見通し。また、エネルギー起源CO2排出量は、2022年度に9.75億トンと、2年ぶりに減少。2023年度には原子力の増加などにより、9.62億トンと、さらに減少するものの、2013年度比22.1%減で、「2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減」(2021年4月に菅首相が表明)の目標には程遠く、「削減の進捗は遅れたまま」と懸念している。
原子力発電については、新規制基準適合性審査などの進捗を踏まえ、再稼働が進むと想定。2022年度はテロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成の遅れで3基の停止が長引き、計10基が平均8か月稼働して、発電電力量は対前年度比20.2%減の541億kWhに後退するも、2023年度は新たに5基が順次再稼働し、計15基が平均10か月稼働することで発電電力量は対前年度比85.1%増、1,002億kWhの大台に回復するとの見通し。政府は2022年8月に「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で示した「日本のエネルギーの安定供給の再構築」の中で、今夏以降、7基の新たな再稼働を目指す方針を打ち出している。今回のエネルギー展望では、特重施設完成の前倒しなどにより原子力発電所の再稼働がより進むシナリオも想定し、化石燃料輸入額やCO2排出量の削減につながる試算結果を示した上で、「個々のプラントに応じた適切な審査を通じた再稼働の円滑化がわが国の3E(安定供給、環境への適合、経済効率性)に資する」と述べている。