消費者庁が食品風評で調査 放射線による忌避は減少傾向
13 Mar 2023
買物で食品の産地を気にする理由の推移(グラフ中の数字は調査対象者全体に対する割合、消費者庁発表資料より引用)
消費者庁は3月10日、風評に関する消費者意識の実態調査結果を発表した。東日本大震災・福島第一原子力発電所事故を受け実施しているもの。初回調査は2013年2月に実施され今回で16回目。今回の調査は、2023年1月、被災地域(岩手県、宮城県、福島県、茨城県)および、その主要出荷先(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県)に居住する20~60代の男女約5,200名を対象にインターネットを通じて行われた。
それによると、「普段の買物で食品を購入する際に、その食品がどこで生産されたかを気にされますか」との問いに対し、「気にする」または「どちらかといえば気にする」と回答した人の割合は、59.1%で、前回調査(2022年2月)の61.0%より減少。その理由(複数回答可)にとして、「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人は10.5%(調査対象者全体に対し)で、これまでの調査で最小となった。最も多かったのは「産地によって品質(味)が異なるから」の24.2%(同)だった。
食品中の放射性物質を理由に購入をためらう産地を尋ねたところ(複数回答可)、東北全域が1.5%(初回調査では6.6%)、北関東が1.4%(同8.1%)、被災地を中心とした東北が3.8%(同14.9%)、福島県が5.8%(同19.4%)で、いずれの対象地域も減少傾向にあり、これまでで最小となった。
一方、「食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は、近年、大きな変化は見られないものの、初回調査では22.4%だったのが、今回は63.0%で、これまでで最大となった。
また、「風評を防止し売られている食品を安心して食べるために、どのようなことが行われるとよいか」を尋ねたところ(複数回答可)、「それぞれの食品の安全に関する情報提供(検査結果など)(48.0%)、「食品に含まれる科学的な説明」(32.5%)、「それぞれの食品の産地や産品の魅力に関する情報提供」(31.2%)が上位を占めた。
消費者庁では、内閣府食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、経済産業省とも連携し、都市部を中心に、生産者、加工・流通業界、消費者団体が食品に関するリスクコミュニケーションをテーマに話し合うシンポジウムを継続的に開催するなど、情報発信や意見交換に努めている。